「タバコをやめたい」と強く思っても、実際にきっぱりとやめるのは難しいものですよね。
やめようとしては失敗を繰り返し、「自分の意志が弱いのかな…」と思ってしまう方も多いのではないでしょうか。
そんな方に向けて、この記事では、
- どうしてもタバコをやめられない3つの原因
- 何度も禁煙に失敗してきた方におすすめの禁煙方法
などをご紹介していきます。
今度こそタバコをやめたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
なお、この記事では、医学的知識に関して専門家に監修をしていただいています。
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※この記事は、2022年1月時点での情報を参考にしています。
※この記事でご紹介している内容は、禁煙の効果を保証するものではありません。
1. タバコをやめたいのにやめられない原因とは?
「本気で禁煙したいと思っているのに、なぜいつも失敗してしまうのだろう…」とお悩みの方は多いと思います。
タバコをやめたいと思ってもやめられないのは、意志の強さとは関係なく、タバコに対する以下の3つの依存が原因です。
そこでこの章では、具体的な禁煙方法をご紹介する前に、これら3つの依存について解説していきます。
1-1. 心理的依存でやめられない
タバコをやめたいのにやめられない原因の1つに、タバコに対する心理的依存があります。
タバコに対する心理的依存とは、「タバコは自分に必要なものだ」という考えからタバコをやめられない状態です。
タバコにストレス解消やリラックスなどの効果を感じている喫煙者は、「禁煙したらタバコから得ていたメリットを失ってしまうのではないか」という不安から、タバコを手放せなくなってしまいます。
心理的依存は、以下のようにタバコに多くのメリットを感じている方ほど強いといえます。
✓タバコにストレス解消効果を感じている方
✓タバコにリラックス効果を感じている方
✓タバコに集中力を高める効果を感じている方
1-2. 身体的依存でやめられない
タバコに対する身体的依存も、タバコをやめられない原因となります。
タバコに対する身体的依存とは、タバコに含まれる極めて依存性の強い成分「ニコチン」が原因でタバコをやめられない状態です。
ニコチンは快楽を司る脳内物質「ドーパミン」を強制的に放出させる働きをするため、喫煙者はタバコを吸うと一時的な満足感を感じます。
しかし、体内のニコチンは30分程度で減少し、ドーパミン不足による不快感(=離脱症状)が表れてくるため、喫煙者はこれを解消しようと再びタバコを吸ってしまいます。
身体的依存は、以下のように短い間隔でタバコを吸ってしまう方ほど強いといえます。
✓朝起きてすぐにタバコを吸う方
✓毎日30本以上のタバコを吸う方
✓禁煙の場所でタバコを我慢するのが難しい方
1-3. 習慣的依存でやめられない
タバコに対する習慣的依存が強くてタバコをやめられないという喫煙者の方も多くいます。
タバコに対する習慣的依存とは、特定の状況で無意識に喫煙してしまうことでタバコをやめられない状態です。
喫煙者の多くはタバコと状況が結びついて習慣化しているため、食後やお酒の席といった特定の状況になるとついタバコを吸ってしまいます。
習慣的依存は、以下のように無意識に喫煙してしまう状況が多い方ほど強いといえます。
✓食後に必ずタバコを吸ってしまう方
✓お酒の席で必ずタバコを吸ってしまう方
✓寝る前に必ずタバコを吸ってしまう方
いかがでしたか。ここで解説した3つの依存は、喫煙者の中で複雑に絡み合ってタバコをやめられない状態にしています。
そこで次の章では、これらの依存を抜け出すための対処法をご紹介していきます。
2. 今度こそタバコをやめたい方のための禁煙方法
ここからは、「1. タバコをやめたいのにやめられない原因とは?」で解説した3つの依存から抜け出すための対処法をご紹介していきます。
- 心理的依存への対処法
タバコに対する考え方を修正する - 身体的依存への対処法
禁煙時の体調の変化を理解する - 習慣的依存への対処法
喫煙を別の行動に置き換える
どれも禁煙に取り組むうえで大切なことなので、焦らず実践してみてくださいね。
2-1. タバコに対する考え方を修正する
タバコをやめるために最も大切なのは、「タバコは自分に必要なものだ」という心理的依存から抜け出すことです。
そのためには、タバコにはメリットがあるという従来の誤った考え方を修正して、タバコには一切メリットがないという事実を正しく理解する必要があります。
「タバコにメリットがないなんて本当?」と疑問に感じる方も多いと思いますが、喫煙者がタバコに感じているメリットはすべて錯覚です。
「1-2. 身体的依存でやめられない」で解説した通り、喫煙者は体内のニコチン減少によって生じる離脱症状を解消するためにタバコを吸い続けます。
そして、タバコによって離脱症状を解消する経験を繰り返すことで、喫煙者は「タバコにはメリットがある」と錯覚するようになっていきます。
離脱症状の不快感は日常のイライラ感・不安感などのストレスとよく似ているため、喫煙者は離脱症状が解消された感覚を「日常のストレスが解消された」と思い込んでしまうのです。
しかし実際には、タバコで解消できるのはそもそもタバコが生み出した離脱症状の不快感だけで、日常のストレス解消などのメリットはありません。
この事実を正しく理解したうえで、「タバコには一切メリットがない」と考え方を修正し、タバコに対する心理的依存から抜け出すことが、禁煙においては何よりも大切になります。
2-2. 禁煙時の体調の変化を理解する
タバコに対する考え方は修正できても、禁煙すると体内からニコチンが急激に減少していくため、身体的依存が強い方はさまざまな離脱症状に悩まされる場合があります。
しかし、離脱症状の多くは禁煙後3日以内にピークとなり、長くても3週間程度で治まることが多いので、「順調に禁煙できている証拠」と考えて冷静に対処しましょう。
主な離脱症状とその対処法は、以下の通りです。
離脱症状 | 対処法 |
---|---|
イライラする | ・深呼吸をする ・水やお茶を飲む |
集中できない | ・散歩などの軽い運動をする ・深呼吸をする |
眠くなる | ・15分程度の仮眠をとる ・熱いシャワーを浴びる |
頭が痛くなる | ・足を高くして仰向けに寝る ・深呼吸をする |
(参照:公益財団法人 健康・体力づくり事業財団「厚生労働省の最新たばこ情報」)
離脱症状への対処法については、「禁煙に成功する方法|禁煙成功者100人に学ぶ失敗しない禁煙方法」でも詳しくご紹介しているので、合わせて参考にしてみてくださいね。
2-3 .喫煙を別の行動に置き換える
禁煙には、特定の状況になると思わずタバコを吸ってしまう習慣的依存を克服することも欠かせません。
そして、習慣的な喫煙を防ぐには、タバコと結びつきの強い状況を意識して変えることが大切です。
そのために、これまでならばタバコを吸っていた状況で水を飲んだり歯を磨いたりするなど、喫煙を別の行動に置き換えることを実践してみましょう。
- 起きてすぐにタバコを吸っている
⇒起きてすぐに歯を磨く、顔を洗う - 食後の一服としてタバコを吸っている
⇒食後に散歩をする、ガムを噛む - お酒を飲むときにタバコを吸っている
⇒お酒の合間に水を飲む
こうした行動の置き換えを続けることで、特定の状況とタバコとの結びつきが弱まるため、次第に習慣的依存から抜け出せます。
タバコに近い感覚で使用できるため、「吸う」という行為自体が習慣になっている方には特におすすめです。
いかがでしたか。ぜひ、この章でご紹介した対処法を実践して、タバコに対する3つの依存を抜け出してくださいね。
次の章では、自力での禁煙に自信がない方におすすめの「禁煙外来」について解説していきます。
3. 自力での禁煙が不安な方におすすめの禁煙外来
タバコをやめられない原因と対処法が分かっても、自分の力だけで禁煙するのは不安だという方には、「禁煙外来」がおすすめです。
禁煙外来とは、医療機関で受けられる禁煙の専門治療のことで、主治医と相談しながら禁煙に取り組めるため、最近では利用者が増えてきています。
- 診察
- 呼気一酸化炭素濃度の測定
- 禁煙実行、継続に向けてのアドバイス
- 禁煙補助薬の処方
※禁煙外来の治療は、12週間(通院5回)のスケジュールで行われます。
※健康保険適用時の治療費は、12週間の合計で13,000円~20,000円程度です。
禁煙外来を受けられる医療機関は年々増加しているので、興味のある方はお近くの施設を調べてみてくださいね。
全国の禁煙外来を受けられる医療機関は、「禁煙治療に保険が使える医療機関情報最新版」(参照元:一般社団法人 日本禁煙学会)からご覧いただけます。
- ただちに禁煙したいと考えている
- ニコチン依存症の診断テストで5点以上
⇒詳細は「TDSニコチン依存度テスト」(参照元:厚生労働省)をご覧ください。 - 1日の喫煙本数×喫煙年数が200以上
⇒35歳未満ならばこの条件はありません。 - 禁煙治療を受けることを文書で同意している
禁煙外来を受けたい方は、上記の条件に当てはまるかを確認しましょう。
4. タバコをやめたい方のための疑問解消Q&A
最後に、タバコをやめたい方の多くが持つ疑問にお答えしていきます。
どれも、これから禁煙を始める方に役立つ情報ばかりなので、気になる質問からチェックしてくださいね。
Q1. 今さらタバコをやめても遅すぎる?
(参照:吉見逸郎「喫煙の健康影響」,たばこ・アルコール対策担当者講習会,2009)
A. 禁煙を始めるのに遅すぎることはありません。誰にでも禁煙を開始したその日から健康改善効果が現れます。
禁煙の効果は、その人の性別・年齢・喫煙年数にかかわらず、誰にでもタバコをやめたその日から現れるものです。
また、上記の通り禁煙後1年で冠動脈疾患のリスクが下がり、禁煙後10年で肺がんによる死亡率が下がるなど、禁煙を続けるほど身体は健康になっていきます。
さらに、禁煙は病気の重症化予防(二次予防)にも効果があるといわれており、もともと病気を持つ方が禁煙することも大切です。
このように、禁煙はいつ始めても遅すぎることはないので、「今さらタバコをやめても遅すぎるかな」と考えていた方もぜひ取り組んでみてくださいね。
喫煙者の余命は、非喫煙者と比べて平均10年短くなるといわれています。
しかし、30歳までにタバコをやめれば喫煙によって失われる10年の余命すべてを取り戻せるといわれており、もともとタバコを吸わない人と同等の余命が期待できます。
さらに、50歳でタバコをやめても喫煙によって失われる10年の余命の内の6年分を取り戻すことができるといわれています。
(参照:厚生労働省「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書」,2016/厚生労働省「e-ヘルスネット」)
ここでご紹介できなかった禁煙の効果については、「禁煙の効果|誰でもすぐに感じられる禁煙のメリットと健康改善効果」で詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。
Q2. 楽な気持ちで禁煙できるコツはある?
A. 小さな目標を1つずつクリアしていくことを心がけて禁煙に取り組みましょう。
禁煙は、「もう一生タバコを吸わない」という切羽詰まった気持ちで始めると、そのプレッシャーから続けるのが難しくなることがあります。
なるべく楽な気持ちで禁煙を続けるために、「小さな目標を1つずつ達成する」という意識で取り組んでみましょう。
具体的には、3日・3週間・3ヶ月といった短い期間を決め、「まずこの期間だけ禁煙してみよう!」という気持ちで取り組むのがおすすめです。
小さな目標を達成することで自信がつき、その後の禁煙も楽な気持ちで続けられるようになりますよ。
Q3. また禁煙に失敗したらどうしよう…
A. 禁煙成功者の多くは、何度も失敗した末に禁煙に成功しています。失敗を恐れず挑戦してみましょう。
禁煙に挑戦しようとしても、「今までのように失敗してしまうのでは…」という不安から、なかなか踏み切れない方は多いと思います。
しかし、禁煙に成功した方の多くは何度も失敗を乗り越えて禁煙を成功させています。そのため、これから禁煙に挑戦する方も失敗を恐れる必要はありません。
もし禁煙に失敗してしまった際は、「どういう場合にタバコを吸ってしまったか」を理解して次の禁煙に活かすことを心がけましょう。
5. まとめ
いかがでしたか。
タバコをやめたいと思ってもやめられないのは、タバコに対する「心理的依存」・「身体的依存」・「習慣的依存」の3つの依存が原因です。
あらためて、これらの依存から抜け出すための対処法を見てみましょう。
- 心理的依存への対処法
⇒タバコに対する考え方を修正する - 身体的依存への対処法
⇒禁煙時の体調の変化を理解する - 習慣的依存への対処法
⇒喫煙を別の行動に置き換える
これまでタバコをやめられなかった方も、この記事を参考にもう1度禁煙に挑戦してみてくださいね。