多くの男性が頭を悩ます薄毛の原因「AGA」。
育毛剤やシャンプーではなく、治療薬を使って本格的にAGAを改善したいと考えていませんか?
今回の記事では、
- 製薬会社への聞き取り調査
- 薄毛治療に関わる専門家へのヒアリング
- 薄毛治療に関する論文調査
※日本皮膚科学会ガイドライン2017年版など
をもとに、AGA治療薬の種類と効果・副作用から選び方まで徹底解説!薬を使ったAGA対策を始めたい方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
なおこの記事では、医学的知識に関して専門家に監修を担当いただいています。
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※この記事は、2024年8月時点での情報を参考にしています。
※本記事内の情報は一般的な知識であり、自己判断を促すものではありません。気になる症状がある場合、まずは医療機関に相談しましょう。
※ご紹介している治療薬の参考月額に医師は関わっておりません。
※参考月額はすべて税込です。
1. AGA治療薬ってどんな薬なの?
一口に「AGAの薬」といっても、どんな効果があるのか?どんな薬なのか?詳しくはわからない、という方がほとんどではないでしょうか。
投薬による薄毛治療を始めるにあたっては、AGA治療薬の大枠と有効成分についての基礎知識を知っておくことがとても重要です。
まずはこの章で、
の3つの視点から、AGA治療薬の基本知識を見ていきましょう。
いなばクリニック院長・稲葉先生のコメントもあわせてご覧ください。
1-1. AGA治療薬は「抜け毛抑制」と「発毛促進」の2タイプ
そもそも、AGAによる薄毛とは
- 脱毛ホルモンによって「抜け毛が増える」
- 加齢や生活習慣の乱れで「毛を生やし育てる力が衰える」
の2つの原因により起こるものであり、AGA治療薬もこれに応じて「抜け毛抑制」「発毛促進」の2タイプに大別できます。それぞれの主な成分は次の通り。
- 抜け毛抑制
……フィナステリド、デュタステリド - 発毛促進
……ミノキシジル
市販の育毛剤などではAGA治療を目的とする独自成分が多く宣伝されていますが、国がAGA治療に推奨している成分は上記の2タイプ3種類のみです。
医療機関としても、基本的におすすめできるAGA治療薬は3つの成分のどれかを配合する薬だけですね。
なお、AGA治療薬の多くは医療機関での処方が必要となるため、薬による本格的なAGA治療はクリニックで行うことが一般的です。
目的 | 薬の種類 | 国の認可 |
抜け毛抑制 | フィナステリド (内服薬のみ) |
〇 |
デュタステリド (内服薬のみ) |
〇 | |
発毛促進 | ミノキシジル (内服薬) |
✕ |
ミノキシジル (外用薬) |
〇 |
しかし、実際には多くの医療機関でミノキシジル内服薬が処方されています。
クリニックなどでの処方を希望する場合は、未承認薬であることを踏まえ、必ず医師の説明を仰ぐようにしましょう。
次の章からは、それぞれの成分についてもう少し深堀りして見ていきましょう。
1-2. 抜け毛抑制成分・フィナステリド / デュタステリドの効果と副作用
フィナステリド / デュタステリドはどちらも、AGAを引き起こす悪玉男性ホルモン(=ジヒドロテストステロン)の生成を妨げる成分。
ジヒドロテストステロンは、もともと頭皮に存在するホルモン(=テストステロン)に「5α-リダクターゼ」という酵素が結合して生まれる悪玉ホルモンで、抜け毛を促進させる働きをします。
フィナステリド / デュタステリドは、この5α-リダクターゼを抑制し、DHTの生成を防ぐ効果を持っているのです。
5α-リダクターゼには後頭部・側頭部に多いI型と、前頭部や頭頂部にII型の2種類があるのですが、フィナステリドはII型のみ抑制するのに対し、デュタステリドはI型・II型両方を抑制してくれます。
- 性欲減退
- 射精障害
- 勃起不全
- 肝機能障害……など
※フィナステリド / デュタステリド共通
副作用が発現する確率に関しては、
- フィナステリド(1mg):6.5%
- デュタステリド(0.5mg):16.7%
とされています。
※参照:プロペシア錠添付文書 - 医薬品医療機器情報提供ホームページ、グラクソ・スミスクライン公式 ザガーロカプセル添付文書
1-3. 発毛促進成分・ミノキシジルの効果と副作用
ミノキシジルは、髪の成長因子の分泌や髪を作る細胞を活性化させる成分で、お伝えした通り内服薬と外用薬の2タイプが存在します。
外用薬はノズル等で直接頭皮に塗るタイプで、市販薬ではリアップなどが有名。髪をつくる細胞の働きを促す効果を発揮をします。
内服薬に関しては、服用後に頭皮の血管が拡がって血流が良くなることで毛細血管まで栄養がいきわたり、結果として強く太い髪の成長を促進します。
ミノキシジルの内服薬は、もともと降圧剤として開発された薬なんです。血管が拡張するのはそのためですね。
▼外用薬(濃度5%)の副作用
・使用部位の赤みやかぶれ・かゆみなど
※1%未満ではあるものの動機や悪心、結膜炎などの報告もあり
▼内服薬の副作用
- 心疾患
- 身体のむくみ
- 血圧の低下
- 多毛症……など
副作用が発現する確率に関しては、
- 外用薬:使用部位の赤みやかぶれ・かゆみなど1.5%、その他1%未満
- 内服薬:日本皮膚科学会などによる詳細な公表値なし
とされています。
※参照:起原又は発見の経緯 – (1) ミノキシジル及びリアップについて、男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版
なお、内服薬は内臓の状態などによってはそもそも使用できないことも。繰り返しになりますが、ミノキシジル内服薬は国の認可が降りていないため、必ず医師の説明を仰いでくださいね。
AGA治療薬ってどんな薬なの?|まとめ
以上、この章では大きく2つのタイプのAGA治療薬についての大枠を解説してきました。
クリニックや皮膚科における実際の処方では、
- 予防や維持を目的に抜け毛抑制薬を単独で使用
- 発毛を目的に抜け毛抑制薬と発毛促進薬を併用
といったように、本人の希望や症状に合わせて2タイプの薬を使い分けていく形になります。
AGAの投薬治療においては抜け毛抑制が先決ですので、フィナステリドやデュタステリドを単独で服用いただくのはよくあるケースです。
逆にミノキシジル、とくに内服薬に関しては、単独でなく抜け毛抑制内服薬と組み合わせてお使いいただくことが一般的ですね。
次章からは具体的な薬をご紹介しますが、有効成分は全てこの章でご紹介したものであることに変わりはないため、その点を踏まえてご覧ください。
2. 販売されているAGA治療薬7種をタイプ別にご紹介
2005年に国内初の承認薬が登場して以来、年々増え続けているAGA治療薬。
この章からは、前章の内容に沿って
の2タイプに大別して解説していきます。
そのため、治療薬の価格はクリニックでの処方価格を参考としてご紹介しています。
なお、ご紹介する治療薬の参考月額に関して医師は関わっておりません。
▼抜け毛抑制 AGA治療薬(薬の名前タップで移動)
成分 | 薬の名前 | 参考月額 |
フィナステリド | プロペシア | 約7,000~ 8,500円 |
フィナステリド錠(プロペシアジェネリック) | 約3,000~ 4,500円 |
|
デュタステリド | ザガーロ | 約9,500~ 11,000円 |
アボルブ | 約8,000~ 9,000円 |
|
デュタステリド錠 / カプセル(ザガーロおよびアボルブジェネリック) | 約6,000~ 8,500円※ |
※ザガーロジェネリックの価格を参照
▼発毛促進 AGA治療薬(薬の名前タップで移動)
成分 | 薬の名前 | 参考月額 |
ミノキシジル | ミノキシジル内服薬 | 約8,000~ 11,000円 |
ミノキシジル外用薬 | 約10,000~ 20,000円 |
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2-1. 抜け毛抑制を目的とするAGA治療薬
まずは、抜け毛を防ぎ薄毛の進行を抑えるAGA治療薬として
の5つをご紹介していきます。
◆プロペシア
クリニックにおける参考月額(編集部調べ) |
約7,000~8,500円 |
プロペシアは、アメリカのオルガノンが販売し、2005年に認可された国内初のAGA治療薬。
有効成分としてフィナステリドが配合されており、ラインナップは1.0mgと0.2mgの2種類です。
MSD(旧販売元)の調査で、プロペシアの薄毛改善効果は服用者の約8割と高い結果が出ています。
また他の治療薬に比べて副作用が起こりにくいと言われており、AGAクリニックでも処方されることが多い薬です。
プロペシアについてさらに詳しく知りたい方は「プロペシアの副作用|薄毛の改善効果から副作用の確率まで全解説」の記事で解説しています。
◆フィナステリド錠(プロペシアジェネリック)
クリニックにおける参考月額(編集部調べ) |
約3,000~4,500円 |
フィナステリド錠とはプロペシアのジェネリック薬品の総称で、有効成分はプロペシアと同じフィナステリドです。
ラインナップもプロペシアと同じく1.0mgと0.2mgの2種類で、現在は9種類のジェネリック薬が販売されています。
- フィナステリド錠「FCI」(富士化学工業)
- フィナステリド錠「SN」(シオノケミカル)
- フィナステリド錠「クラシエ」(大興製薬)
- フィナステリド錠「サワイ」(沢井製薬)
- フィナステリド錠「トーワ」(東和薬品)
- フィナステリド錠「VTRS」(ヴィアトリス・ヘルスケア)
- フィナステリド錠「RTO」(リョートーファイン)
- フィナステリド錠「TCK」(辰巳化学)
- フィナステリド錠「NIG」(日医工岐阜工場)
※全て1.0mgと0.2mgの2種類
※参照:KEGG MEDICUS「商品一覧 : フィナステリド」
プロペシアの販売元であるオルガノン以外の製薬会社から販売されている後発薬であり、開発費がかからない分、先発薬のプロペシアより平均して約5割も安いことが特徴です。
プロペシアに限った話ではありませんが、ジェネリック薬品と先発薬とでは有効成分は同じですが添加物などが異なります。
どの製薬会社の薬であるかはクリニックにより異なる可能性があるので、実際に処方を受ける際は医師やスタッフなどに確認してみてください。
- プロペシアより5割ほど価格が安い
- 効果と安全性は変わらない
- 香料などの添加物や製造法が異なる
◆ザガーロ
クリニックにおける参考月額(編集部調べ) |
約9,500~11,000円 |
ザガーロは、イギリスのグラクソ・スミスクラインから販売され、2015年に認可されたAGA治療薬。
有効成分としてデュタステリドが配合されており、ラインナップは0.5mgと0.1mgの2種類です。
効能はプロペシアと同じ脱毛ホルモンの抑制ですが、先述の通りより多くのタイプの薄毛に効果を発揮します。
ただその反面、プロペシアに比べて副作用が起こりやすいことには注意が必要。
心配な方は医師と相談のうえ、まずプロペシアを試し、あまり効果がなかった場合にザガーロを検討するのがおすすめです。
- 効能はプロペシアと同じ脱毛ホルモンの抑制
- プロペシアより多くの薄毛タイプに効果が期待できる
- 副作用に注意が必要
◆アボルブ
クリニックにおける参考月額(編集部調べ) |
約8,000~9,000円 |
アボルブは、ザガーロと同じくデュタステリドを主成分とした薬で、脱毛を防ぐ効果があります。販売元もザガーロと同じグラクソ・スミスクラインで、販売ラインナップは0.5mgの1種類です。
しかしアボルブは、もともとAGAではなく『前立腺肥大症』の治療薬として開発されました。
研究によりAGAにも男性ホルモンの分泌量が関係していると分かったことで、ザガーロ発売まではアボルブがAGA治療に使われていた経緯があります。
加齢に伴う男性ホルモンの分泌不足によって、膀胱の下にある前立腺が肥大化する病気。頻尿や残尿感といった排尿障害が起こる。
本来であれば、目的とする病気が違う薬を使うのは勧められません。しかし有効成分のほか、添加物もほぼ同じ成分のため、アボルブとザガーロは『ほとんど同じ薬』と考える専門家が多いのです。
さらに、ザガーロに比べて1~2割ほど価格が安いため、稀ではありますが取り扱いのあるクリニックも見られます。
- 効能はザガーロと同じ脱毛ホルモンの抑制(Ⅰ型Ⅱ型酵素に働く)
- もとは前立腺肥大症の薬だがザガーロ販売前はAGAにも使われていた
- ザガーロより1~2割ほど価格が安い
◆デュタステリド錠 / カプセル(ザガーロおよびアボルブジェネリック)
クリニックにおける参考月額(編集部調べ) |
約6,000~8,500円※ザガーロジェネリックの価格 |
デュタステリド錠 / カプセルとはザガーロおよびアボルブのジェネリック薬品の総称で、有効成分はザガーロ・アボルブと同じデュタステリドです。
ラインナップはザガーロジェネリックが0.5mgと0.1mgの2種類、アボルブジェネリックが0.5mgの1種類。
錠剤のほかカプセル剤も存在し、現在はザガーロジェネリックが13種類、アボルブジェネリックが16種類販売されています。
ザガーロに比べてアボルブはクリニック等での取り扱いが稀であるため、ジェネリックも処方されるのはザガーロのものである場合が一般的です。
▼デュタステリドジェネリックの一覧
- デュタステリドカプセルZA「サワイ」(沢井製薬:0.5mg)
- デュタステリドカプセルZA「トーワ」(東和薬品:0.1mg / 0.5mg)
- デュタステリドカプセルZA「MYL」(ヴィアトリス・ヘルスケア:0.5mg)
- デュタステリドカプセルZA「BMD」(ビオメディクス・0.5mg)
- デュタステリドカプセルZA「YD」(陽進堂: 0.5mg)
- デュタステリドカプセルZA「SN」(シオノケミカル: 0.5mg)
- デュタステリドカプセルZA「AFP」(東洋カプセル: 0.5mg)
- デュタステリドカプセルZA「イワキ」(岩城製薬:0.5mg)
- デュタステリド錠ZA「NS」(日新製薬-山形:0.1mg / 0.5mg)
- デュタステリド錠ZA「F」(富士製薬工業:0.5mg)
- デュタステリド錠ZA「明治」(Meiji Seikaファルマ:0.5mg)
- デュタステリド錠ZA「FCI」(富士化学工業:0.5mg)
- デュタステリド錠ZA「トーワ」(東和薬品:0.5mg)
▼アボルブジェネリックの一覧
- デュタステリドカプセルAV「JG」(日本ジェネリック: 0.5mg)
- デュタステリドカプセルAV「フソー」(扶桑薬品工業: 0.5mg)
- デュタステリドカプセルAV「日医工」(日医工: 0.5mg)
- デュタステリドカプセルAV「トーワ」(東和薬品: 0.5mg)
- デュタステリドカプセルAV「DSEP」(第一三共エスファ: 0.5mg)
- デュタステリドカプセルAV「AFP」(東亜薬品: 0.5mg)
- デュタステリドカプセルAV「ニプロ」(ニプロ: 0.5mg)
- デュタステリドカプセルAV「武田テバ」(武田テバファーマ: 0.5mg)
- デュタステリドカプセルAV「サワイ」(沢井製薬: 0.5mg)
- デュタステリドカプセルAV「杏林」(森下仁丹: 0.5mg)
- デュタステリドカプセルAV「BMD」(ビオメディクス: 0.5mg)
- デュタステリドカプセルAV「TC」(東洋カプセル: 0.5mg)
- デュタステリド錠「NS」(日新製薬-山形: 0.5mg)
- デュタステリド錠AV「YD」(陽進堂: 0.5mg)
- デュタステリド錠AV「DSEP」(第一三共エスファ: 0.5mg)
- デュタステリド錠AV「明治」(Meiji Seikaファルマ: 0.5mg)
プロペシアジェネリックと同じく、全体的にデュタステリド・アボルブよりも価格が下がっているのが特徴です。
- ザガーロより2~3割ほど価格が安い
- 効果と安全性は変わらない
- 香料などの添加物や製造法が違う
2-2. 発毛促進を目的とするAGA治療薬
続いて、髪の毛を生やし成長させるAGA治療薬として、
の2つのをご紹介します。
◆ミノキシジル内服薬
クリニックにおける参考月額(編集部調べ) |
約8,000~11,000円 |
前章でご紹介した通り、発毛を促進するミノキシジル内服薬。効果が期待できる配合成分は名前の通りミノキシジルとなります。
ただし、再三お伝えしている通り、ミノキシジル内服薬は海外を含め日本でもAGA治療薬として認可されていません。
もともとは高血圧の治療薬で、血管を広げる作用があり、心機能や血圧に悪影響を及ぼすおそれがあるため。こうしたリスクが大きいことからAGA治療薬としてはもちろん、日本では高血圧治療薬としても認可されていません。
とはいえ、先述の通り一部のクリニックでは医師の判断にもとづきミノキシジル内服薬の処方を受けることが可能です。
またミノキシジル単体でなく、
- フィナステリドやデュタステリドとの調合
- その他成分との調合
など、独自調合のオリジナル内服薬を処方するクリニックも存在します。
現状は一部のクリニックなどで処方されているミノキシジル内服薬ですが、本来は降圧薬として使うべきものです。承認されている薬に比べ、当然リスクも高くなります。
もし処方を希望する場合、必ず納得できるまで医師の説明を受けるようにしてください。
- 毛の生成と成長を促す発毛薬
- 心機能や血圧に悪影響を及ぼすおそれがある
- 一部のクリニックでは抜け毛抑制成分やその他成分と調合したものも存在する
- AGA治療薬としては未承認薬であるため、医師の判断のもと利用すること
主成分のミノキシジルについてさらに知りたい方は「ミノキシジルの効果とは|実際に使用した際の発毛効果と副作用を解説」の記事で詳しく解説しています。
◆ミノキシジル外用薬
クリニックにおける参考月額(編集部調べ) |
約10,000~20,000円 |
ミノキシジル外用薬は、直接頭皮に塗るタイプのAGA治療薬。有効成分は内服薬と同じくミノキシジルです。
先発薬は、日本でも事業を展開するジョンソンエンドジョンソンの米国子会社(マクニール社)が販売する「ロゲイン」。
内服薬と違い外用薬は日本でも認可されており、正製薬のリアップシリーズをはじめ、アンファー(スカルプD メディカルミノキ5)やロート製薬(リグロEX5)など、ジェネリックの市販外用薬が増えています。
内服薬に比べると効果は落ちますが、その分リスクが少なく安心して使えるのがメリットです。
市販品ではミノキシジルの最大濃度が5%であるのに対し、医療機関では7~15%と高濃度で配合した外用薬の処方が受けられます。
ただし、これは日本皮膚科学会のガイドラインで推奨される濃度(5%)を超えているため、ご自身に向いた濃度についてはカウンセリングなどで医師にしっかりと相談しましょう。
- 発毛を促す効果のあるミノキシジルを含んだ塗り薬
- 先発薬がロゲイン、ジェネリックがリアップ(大正製薬)、スカルプD メディカルミノキ5(アンファー)、リグロEX5(ロート製薬)など
- 内服薬に比べて効果は落ちるが、副作用のリスクなく利用できる
なお、ドラッグストアで購入できるジェネリックのミノキシジル外用薬については、以下の別記事で詳しくご紹介しています。
3. 自分に適したAGA治療薬の選び方
AGA治療薬には、「抜け毛抑制」と「発毛促進」の2タイプが存在し、それぞれのタイプにさまざまな薬があることはお伝えした通り。
しかし、「結局自分はどれを選んだらいいの?」と懸念を抱く方も多いはず。そこでこの章では、
の3点から、AGA治療薬の選び方をご紹介します。
①叶えたい目的に合った成分である
AGA治療薬を選ぶ1つ目のポイントは、「自分が叶えたい目的に適した薬を選ぶ」こと。
AGA治療薬の2つのタイプをふまえ、以下を参考にしてみてください。
◆現状維持や予防が目的
⇒フィナステリド / デュタステリド配合の抜け毛抑制薬を選ぶ
◆新しい髪を生やすことが目的
⇒抜け毛抑制薬に加え、ミノキシジル配合薬の使用を検討する
たとえば、発毛を目的として治療を開始したあと、改善してきた維持に切り替えるなどの手段を取ることも可能。
クリニックで医師と相談のうえ、有用な治療法を選んでくださいね。
すでにお伝えしている通り、基本的には抜け毛抑制のみか、抜け毛抑制+発毛促進のいずれかを選ぶことになるケースがほとんど。
発毛促進のみを選ぶことはほとんどないと言っていいでしょう。
②持病や体質に注意する
AGA治療薬を選ぶ2つ目のポイントは、「自分にとってリスクの少ない薬を選ぶ」ことです。
どんな薬にも副作用はつきものですが、薬によって出やすい体質や持病が分かっています。
◆抜け毛抑制に注意が必要な人
・肝臓の病気を患っている
・血液検査の肝機能値が正常でない……など
◆発毛促進薬に注意が必要な人
・血圧が低い
・心機能に異常がある……など
とりわけ、未承認薬であるミノキシジル内服薬の服用についてはしっかりとした検討が必要になります。
患者さまの身体の状態は、基本的にどのクリニックでも医師が治療に先立ってしっかり把握してくれます。
また、上記の肝機能・心機能の異常に該当する方以外にも、アレルギーや既往歴などといった気がかりがあれば、細かいことでも必ず医師に相談しましょう。
③続けやすい価格である
AGA治療は年単位での継続が必要となるため、薬の価格も重要なポイント。
なるべく薬代を抑えたい人は、先発薬でなくジェネリック薬の使用を検討してみるのも1つの手段。
これは既にご紹介した通り、ジェネリック医薬品は先発薬よりも平均的に割安になっているため。
先発薬に強いこだわりがなければ、ジェネリックから始めることも価格的には非常に有効ですね。
これも既に触れていますが、先発薬とジェネリックとでは主成分以外の添加物や香料、製造法などが異なり、苦味の強さや薬の形なども違ってきます。飲みやすさなどが気になる場合は、診察時などに相談してみましょう。
4. AGA治療薬に関する疑問解消Q&A
最後に、AGA治療薬に関する5つの疑問にお答えします。
Q2. AGA治療薬は一生飲み続けないとだめ?
Q3. AGA治療薬に保険はきくの?
Q4. AGA治療薬でも効果がなかったら?
Q5. AGA治療薬は女性でも使える?
気になる質問から、チェックしてみてくださいね。
Q1. AGA治療薬は個人で購入できる?
A. ジェネリックのミノキシジル外用薬は市販品を購入可能。それ以外の治療薬は必ずクリニックでの処方してもらいましょう。
リアップやリグロなどジェネリックのミノキシジル外用薬であれば、ドラッグストア等で気軽に購入できます。
しかし、フィナステリド / デュタステリドおよびミノキシジル内服薬を個人で購入する場合、海外から個人輸入が必要となります。しかし個人輸入は、
- 偽造品が届くおそれがある
- 副作用への対応が不十分になりやすい
といった高いリスクを背負うことになるため、決しておすすめできません。
クリニックや皮膚科などで医師に相談のうえ、処方薬を服用することを強くおすすめします。
Q2. AGA治療薬は一生飲み続けないとだめなの?
A. 服用を辞めれば効果はなくなりますが、加齢に伴って薄毛が気にならなくなった段階で治療を辞める方が多い傾向にあります。
AGA治療薬の効果は、薬を中断すれば失われます。そのため、効果を望むなら飲み続けることが大切ですが、必ずしも一生飲み続ける必要はありません。
周りと比べて自分の薄毛が気にならなくなったタイミングで、治療を終える人は多くいます。
ただし、最低でも半年以上は服用を続けましょう。
AGA治療薬の効果を感じ始めるのは平均して6カ月、1年ほどで他人から見て毛量が増えたと分かるくらいになるケースが多いためです。
「AGA治療の費用はどのくらい?月額の費用相場と安く治療を受ける方法4選
Q3. AGA治療薬に保険はきくの?
A. 美容診療の扱いになるため、保険はきかず全額自己負担になります。
AGA治療にかかる費用が一般的な病気やケガの治療費よりも高額なのは、健康保険が適用外の自由診療であるからです。
AGAは命に関わる治療ではないので保険が適用されず、全額自己負担になってしまいます。
そのためAGA治療は、病院やクリニックが自由に治療費を決めることができます。
これからクリニックでの治療を検討している方は、治療費の差があることを意識してくださいね。
「AGA治療の費用はどのくらい?月額の費用相場と安く治療を受ける方法4選」
Q4. AGA治療薬でも効果がなかったら?
A. 植毛やウィッグといった選択肢があります。
すでに薄毛がかなり進行している場合は、AGA治療薬で効果が出ないこともありえます。
その場合、考えられるのは以下のような対策です。
- 自毛植毛
⇒70万~100万程度と高額だが、一度の施術で済むのがメリット
⇒AGAの影響を受けていない毛根を移植する - ウィッグ
⇒フルサイズから部分用まで豊富に選べる
⇒手軽さが魅力だが、劣化に伴って買い替えが必要
クリニックによっては、こうした他の対策も用意しているところがありますので、病院選びの際にチェックしておくと良いですね。
Q5. AGA治療薬は女性でも使える?
A. ミノキシジルは医師の判断のもと使用できますが、フィナステリド / デュタステリドは使用できません。
今回ご紹介したAGA治療薬のなかで、女性でも使用できるのはミノキシジルのみ。
ただし、何度もお伝えしている通り内服薬は未承認薬であるため、必ず医師の判断を仰いでください。
また、ミノキシジル外用薬に関しては配合濃度も男性より低い1%が推奨されています。
※男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版より
一方で、フィナステリド / デュタステリドに関しては、ホルモンバランスに対する影響などの観点から女性の使用は禁止されています。
このように、「AGA治療薬」として知られる多くの薬は女性に向かないため、薄毛治療を希望する女性はクリニックでの相談をおすすめします。
5. まとめ
この記事では、AGA治療薬に関する知識として
などを解説してきました。
薬による薄毛治療は、できる限り薬の特徴を把握し、医師に判断を仰ぐことが大切。
気になった方は、自己判断でなくクリニックのカウンセリングなどに足を運んでみてくださいね。