「AGA」は、男性の4人に1人が発症する進行性の薄毛。
AGAには治療薬があると知って、どんなものか気になっていませんか?
ここでは、
- 製薬会社への聞き取り調査
- 薄毛治療に関わる専門家へのヒアリング
- 薄毛治療に関する論文調査
※日本皮膚科学会ガイドライン2017年版など
をもとに、AGA治療薬の種類と違いから、選び方まで全解説します。ぜひ参考にしてくださいね。
なおこの記事では、医学的知識に関して専門家に監修をしていただいています。
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※この記事は、2023年8月時点での情報を参考にしています。
※本記事内の情報は一般的な知識であり、自己判断を促すものではありません。気になる症状がある場合、まずは医療機関に相談しましょう。
※価格はすべて税込です。
1.AGA治療薬には2タイプある
そもそもAGAとは、
- 脱毛ホルモンによって「抜け毛が増える」
- 加齢や生活習慣の乱れで「毛を生やし・育てる力が衰える」
という、大きく2つの原因によって進行する薄毛です。
そのためAGAの治療薬にも、これらの原因に合わせて2つのタイプがあります。
①脱毛を防ぐ「守り系」タイプ
⇒抜け毛の原因となる脱毛ホルモンを抑制することで、薄毛の進行を抑制する
②発毛を促す「攻め系」タイプ
⇒毛を作り出す細胞やそこへ栄養を送る血流を促して、発毛力を高める
①は基本的に飲み薬ですが、②は飲み薬と塗り薬(頭皮に塗るタイプ)があります。
次の章から、実際に処方されている7種類の治療薬について、それぞれの特徴や効果の違いを解説します。
2.AGA治療薬7種の違いを解説
2005年に国内初の承認薬が出て以来、AGAの治療薬の数は年々、増えています。
ここでは、日本皮膚科学会ガイドライン2017年版を踏まえ、現在、治療に使われる代表的な7種類を解説します。
AGA治療薬7種類の比較表
「守り系」のAGA治療薬 |
||||
名前 | 販売元 | 種類 | 価格 | |
プロペシア |
オルガノン (日本) |
飲み薬 (錠剤) |
6,000~7,000円 | |
プロペシアのジェネリック |
各社 (日本) |
飲み薬 (錠剤) |
4,300~6,000円 | |
ザガーロ |
GSK |
飲み薬 (カプセル剤) |
8,200~10,000円 | |
アボルブ |
GSK (日本) |
飲み薬 (カプセル剤) |
7,800~9,000円 | |
「攻め系」のAGA治療薬 |
||||
名前 | 販売元 | 種類 | 価格 | |
ミノタブ |
各社 (海外) |
飲み薬 (錠剤) |
8,000~10,000円 | |
ロゲイン |
US Johnson & Johnson (海外) |
塗り薬 (スポイト/フォーム) |
5,000~8,700円 | |
カルプロニウム塩化物外用液5%「CH」 |
長生堂製薬 (日本) |
塗り薬 (ノズル) |
1,200~1,500円 |
各治療薬の副作用については、「Q3.AGA治療薬で副作用は起こるの?」で詳しく比較・解説しています。
2-1.守り系のAGA治療薬
まずは、抜け毛を防ぎ薄毛の進行を抑える「守り系」の働きをもつ、
- プロペシア
- プロペシアのジェネリック
- ザガーロ
- アボルブ
の、4つのAGA治療薬をご紹介します。
・プロペシア
プロペシアは、2005年に認可された国内初のAGA治療薬です。
MSD(旧販売元)の調査で、プロペシアの薄毛改善効果は服用者の約8割と高い結果が出ています。
また他の治療薬に比べて副作用が起こりにくいと言われており、AGAクリニックでも処方されることが多い薬です。
プロペシアについてさらに詳しく知りたい方は「プロペシアの副作用|薄毛の改善効果から副作用の確率まで全解説」の記事で解説しています。
・プロペシアのジェネリック
プロペシアのジェネリックとは、先発薬の販売元であるオルガノン以外の製薬会社から販売されている、プロペシアと同じ効能の薬です。
こうした主成分が同じ薬を「ジェネリック」といい、開発費がかからないぶん、先発薬より低価格なのが特徴です。
現在は、9つの製薬会社からプロペシアのジェネリックが販売されており、価格は平均して2割ほど安くなっています。
先発薬とジェネリックの違いは、「3.AGA治療薬の選び方」で詳しく解説していますので、そちらもぜひチェックしてみてください。
- フィナステリド錠「FCI」(富士化学工業)
- フィナステリド錠「SN」(シオノケミカル)
- フィナステリド錠「クラシエ」(クラシエ薬品)
- フィナステリド錠「サワイ」(沢井製薬)
- フィナステリド錠「トーワ」(東和薬品)
- フィナステリド錠「ファイザー」(ファイザー)
- フィナステリド錠「武田テバ」(武田テバファーマ)
- フィナステリド錠「TCK」(辰巳化学)
- フィナステリド錠「SKI」(小林化工株式会社)
・ザガーロ
ザガーロは2015年に認可された、最も新しいAGA治療薬です。
効能はプロペシアと同じ脱毛ホルモンの抑制ですが、ザガーロはより多くの薄毛のタイプに効果があります(詳しくはこちら)。
ただその反面、プロペシアに比べて副作用が起こりやすい※ことに注意が必要です。
※ 副作用の起こりやすさ:プロペシア0.5%(医薬品インタビューフォーム「プロペシア錠」,改訂第14版,2016.より)、ザガーロ17.1%(医薬品インタビューフォーム「ザガーロカプセル」,第3版,2016.より)
そのため心配な方はまずプロペシアを試してみて、あまり効果がなかった場合にザガーロを検討するのがおすすめです。
・アボルブ
アボルブは、ザガーロと同じデュタステリドを主成分とした薬で、脱毛を防ぐ効果があります。
ただし、もともとはAGAではなく『前立腺肥大症』の治療薬として開発されました。
A. 加齢に伴う男性ホルモンの分泌不足によって、膀胱の下にある前立腺が肥大化する病気。頻尿や残尿感といった排尿障害が起こる。
その後、AGAにも男性ホルモンの分泌量が関係していると分かり、特にザガーロ発売まではアボルブがAGA治療に使われていた経緯があります。
ただ本来は、目的とする病気が違う薬を使うのは勧められません。しかし有効成分のほか、添加物もほぼ同じ成分のため、アボルブとザガーロは『ほとんど同じ薬』と考える専門家は多いです。
さらにザガーロに比べて1割ほど価格が安いため、患者からの要望で現在でも取り扱う病院があります。
・ザガーロより1割ほど価格が安い
2-2.攻め系のAGA治療薬
次は、毛を生やし成長させる「攻め系」の働きをもつ、
- ミノタブ
- ロゲイン
- カルプロニウム塩化物外用液5%「CH」
の、3つのAGA治療薬をご紹介します。
・ミノタブ
ミノタブとは『ミノキシジルタブレット』という内服薬の総称で、「ミノキシジル」という有効成分が、毛の生成と成長を促します。
脱毛を抑える薬が多いなか、発毛効果のあるミノキシジルはAGAの治療効果を各段に高めました。
ただし、海外を含め日本でもAGA治療薬として認可されていません。
A.もともとは高血圧の治療薬で、血管を広げる作用があり、心機能や血圧に悪影響を及ぼすおそれがある。こうしたリスクが大きいことからAGA治療薬としてはもちろん、日本では高血圧治療薬としても認可されていない。
本来は目的に合った降圧薬として使うべきですが、医師の判断でAGAに処方することは可能です。
そのため利用する際は、必ず医師のもとで適切な用法・用量の指示を受けてください。
・心機能や血圧に悪影響を及ぼすおそれがある
・AGA治療薬としては未認可のため、医師のもと利用すること
主成分のミノキシジルについてさらに知りたい方は「ミノキシジルの効果とは|実際に使用した際の発毛効果と副作用を解説」の記事で詳しく解説しています。
・ロゲイン
「ロゲイン」は、日本でも事業を展開するジョンソンエンドジョンソンの米国子会社(マクニール社)が販売する、ミノキシジルを主成分とした塗り薬(外用薬)です。
副作用のリスクが高くなる内服薬(ミノタブ)のデメリットを、外用薬にすることで解消しました。
日本でも外用薬はAGA治療薬として認可されており、発毛剤として知られる大正製薬の「リアップシリーズ」などがそうです。
2018年にはアンファー(スカルプD メディカルミノキ5)とロート製薬(リグロEX5)からも、市販の外用薬が発売されました。
体に直接、ミノキシジルを届ける内服薬に比べるとやはり効果は落ちますが、その分リスクが少なく安心して使えるのが外用薬のメリットです。
・アメリカ版がロゲイン、日本版がリアップ(大正製薬)、スカルプD メディカルミノキ5(アンファー)、リグロEX5(ロート製薬)
・内服薬に比べて効果は落ちるが、副作用のリスクなく利用できる
リアップをはじめ、ドラッグストアで購入できる市販の発毛剤については、以下の別記事で詳しくご紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
・カルプロニウム塩化物外用液5%「CH」
※旧名称:アロビックス外用液5%
カルプロニウム塩化物外用液5%「CH」は、血行を良くして毛の成長を促す「カルプロニウム塩化物」を含む外用薬。
旧名称は「アロビックス外用液5%」といい、内容物は旧商品同様です。
他の治療薬と異なるメリットは、AGAだけでなく円形脱毛症や女性の脱毛にも使用できることです。
また保険が適応される薬なので、圧倒的に価格が安いのも特徴です。
・AGA以外の脱毛症にも有効
・保険適用薬のため、圧倒的に低価格
3.AGA治療薬の選び方
ここまでご紹介したように、AGA治療薬にはたくさんの種類があって、どれを選んだら良いのか分かりませんよね?
この章では、薄毛治療のカギである
- 自分の薄毛に効く
- 継続できる
といった、2点をふまえた治療薬の3つの選び方をご紹介します。
①改善したい悩みで選ぶ
AGA治療薬を選ぶ1つ目のポイントは、「改善したい悩み」で選ぶことです。
冒頭でご紹介したように、AGA治療薬には「攻め系」と「守り系」の2タイプがあります。
そのためこれらのタイプをふまえ、ご自身の目的に合わせて治療薬を選んでみてください。
- これ以上、薄毛を進行させないのが目的
⇒「守り系」のみでも十分
⇒抜け毛を防ぐことで薄毛の進行を抑えることができる
- 地肌が見えていて毛を生やすのが目的
⇒「守り系」と「攻め系」の併用が良い
⇒脱毛抑制に加え発毛を促すことで、効率的に薄毛が改善できる
②持病や体質に注意して選ぶ
AGA治療薬を選ぶ2つ目のポイントは、自分にとってリスクの少ない薬を選ぶことです。
どんな薬にも副作用はつきものですが、薬によって出やすい体質や持病が分かっています。
AGA治療薬において注意したいケースをご紹介します。
「攻め系」のAGA治療薬に注意が必要な人
・血圧が低い
・心機能に異常がある
▶異常をきたすリスクが高い「ミノタブ」は避ける
「守り系」のAGA治療薬に注意が必要な人
・肝臓の病気を患っている
・血液検査の肝機能値が正常でない
▶服用NGでないが、必ず医師に相談のうえ適切な処方量の指示を仰ぐこと
これらのケースに該当する方以外にも、アレルギーや既往歴などといった体のことで気になれば必ず、医師に相談してくださいね。
③薬の価格で選ぶ
AGA治療薬を選ぶ3つ目のポイントは、価格です。薬代は、少しでも安いほうが良いですよね。
薬代を抑えたい人は「ジェネリック医薬品」を選ぶのがおすすめです。
どんな薬にも大きく2つの種類があり、
- 最初に開発・販売された薬(先発薬)
- 後から販売された薬(後発薬=ジェネリック医薬品)
に、分かれます。
開発費がかからない分、ジェネリック医薬品は先発薬より平均して1~4割ほど低価格です。
4.AGA治療薬はクリニックの処方が安心
ここまでご紹介してきた治療薬は、基本的に医師の処方せんがないと購入できない医療用医薬品に該当します。
それは、病院で出される薬は効果が高い分、副作用に注意が必要だからです。
たとえば、
「持病があるけど、この薬を飲んでいいの?」
「薬を飲んで体調が悪くなったことがあるんだけど・・・」
といった、疑問や不安は素人では解決できませんよね。適切な対処や支持を受けるためにもAGA治療薬は、病院やクリニックで診察を受けて購入するのが安心です。
現状では、代理店を通して海外の治療薬を購入する個人輸入を利用する人もいます。
診察代がかからず通院より安く済みますが、偽造品が届くおそれや副作用への対応が不十分になりやすいためリスクが大きいです。
AGA治療薬は、クリニックで受診したうえで購入するのが安心です。
AGAクリニックについてさらに詳しく知りたい方は「AGA治療でおすすめのクリニック5選|後悔しない薄毛治療に効果的な専門院をご紹介」の記事をご覧ください。
5.AGA治療薬のQ&A
ここでは、AGA治療薬に関する4つの疑問にお答えします。
気になる質問から、チェックしてみてくださいね。
Q1.AGA治療薬は一生飲み続けないとだめ?
A.服用を辞めれば効果はなくなりますが、加齢に伴って薄毛が気にならなくなった段階で辞める人が多いです。
AGA治療薬の効果は、薬を中断すれば失われます。
そのため、効果を望むなら飲み続けることが大切ですが、必ずしも一生飲み続ける必要はありません。
周りと比べて自分の薄毛が気にならなくなったタイミングで、治療を終える人は多くいます。
ただし、最低でも半年以上は服用を続けましょう。
AGA治療薬の効果を感じ始めるのは平均して6カ月と言われており、1年ほどで他人から見て毛量が増えたと分かるくらいになります。
Q2.AGA治療薬に保険はきくの?
A.美容診療の扱いになるため、保険はきかず全額自己負担になります。
AGA治療にかかる費用が一般的な病気やケガの治療費よりも高額なのは、健康保険が適用外の自由診療だからです。
AGAは命に関わる治療ではないので保険が適用されず、全額自己負担になってしまいます。
そのためAGA治療は、病院やクリニックが自由に治療費を決めることができます。
もしこれからクリニックでの治療を検討している方は、治療費の差があることを頭においておくと良いです。
「AGA治療の費用はどのくらい?月額の費用相場と安く治療を受ける方法4選」
Q3.AGA治療薬で副作用は起こるの?
A.数%ほどの確率で副作用が起こりますが、特別に起こりやすい薬ではありません。
国内外の臨床試験においてAGA治療薬の副作用の発生率は数%以内であり、重篤な副作用の発生は報告されていません。
なお、AGA治療薬で起こり得る副作用は、以下のようなものがあります。
▼AGA治療薬の主な副作用
内服薬 | 外用薬 |
・勃起不全(0.7%) ・性欲減退(1.1%) ・肝機能障害(0.2%) |
・かゆみ(4.0%) ・頭皮の発疹(1.3%) |
※参考 :オルガノン株式会社 医薬品インタビューフォーム〈プロペシア錠〉,2021.オルガノン株式会社:プロペシア錠0.2mg/ プロペシア錠1mg添付文書,第2版,2021.
※参考:厚生労働省「ミノキシジルのリスク区分について」
ちなみに副作用はどんな薬でも3%ほど出るため、AGA治療薬が特別、危険な薬ではないことをお伝えしておきます。
Q4.AGA治療薬でも効果がなかったら?
A.植毛やウィッグといった選択肢があります。
すでに薄毛がかなり進行している場合は、AGA治療薬で効果がでないケースがあります。
ただその場合でも、次のような対策があります。
- 自毛植毛
⇒70万~100万程度と高額だが、一度の施術で済むのがメリット
⇒AGAの影響を受けていない毛根を移植する - ウィッグ
⇒フルサイズから部分用まで豊富に選べる
⇒手軽さが魅力だが、劣化に伴って買い替えが必要
クリニックによっては、こうした他の対策も用意しているところがありますので、病院選びの際にチェックしておきましょう。
6.まとめ
いかがでしたか?
AGAの治療薬にはどのようなものがあるか、だいたい把握できたでしょうか。
もう一度、ご紹介したAGA治療薬をまとめます。
- プロペシア(飲み薬)
- プロペシアのジェネリック(飲み薬)
- ザガーロ(飲み薬)
- アボルブ(飲み薬)
発毛を促す「攻め系」タイプ
- ミノタブ(飲み薬)
- ロゲイン(塗り薬)
- カルプロニウム塩化物外用液5%「CH」(塗り薬)
たくさんの種類がありますが、大きくはこれら2つのタイプに分かれます。
ご自身の悩みや希望に合った治療薬を選んで、効果的に治療を進めてくださいね。
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