以前はアスリートが摂取するイメージが強かった「プロテイン」。しかし、最近ではコンビニでも気軽に買えるようになるなど、一般人の愛飲者もかなり増えてきましたよね。

そんな中で、

「プロテインを摂取するとどんな効果があるの?」
「様々な種類があってどれが自分に合っているのかわからない・・・」

と、ネットや口コミなどの情報だけでは購入に踏み切れず、悩んでいる人も多いのではないでしょうか?

今回は、ボディビルダーの世界大会で優勝した経歴を持ち、メジャーリーガーをはじめとする数多くの有名アスリートを指導してきた山本義徳さんに、

  • プロテインを摂取するメリット
  • プロテインの種類別の特徴
  • プロテインの摂取量の目安
  • プロテインの効果的な摂取タイミング

について、カスタムライフ編集部が取材しました。

山本さんのお話をもとに、情報サイトや口コミで言われているプロテインについての疑問を、とことん追及しながら解説します。

ぜひプロテイン選びの参考にしてくださいね!

  • 山本義徳さん
この記事の監修者
一般社団法人パーソナルトレーナー協会 理事

山本 義徳

ボディビルダー世界大会優勝・一般社団法人パーソナルトレーナー協会 理事・日本ボディメイキング振興協会 所属・株式会社レバレッジ 社外取締役

ボディビルダー・タレント・トレーニング指導者として業界で幅広く活躍中。ボディビルダーの世界大会で優勝、メジャーリーガーなど数多くの有名アスリートを指導するといった実績をもつ。著書やDVDを多数出版、バルクアップサプリメントやアパレルを取り扱う「VALX(バルクス)」を発足、TV番組にも出演するなど、業界最高峰のプロフェッショナル。

 

 

1.プロテインとは?

そもそも「プロテイン」とは、「タンパク質」を英語訳したもの。

筋肉・皮膚・髪の毛・爪・歯・内臓・骨・血液など、人間の身体を構成するパーツの全てはタンパク質からできています

また、タンパク質は人間が活動をする際の原料にもなるため、毎日身体の中で消費されていきます。

そのため、タンパク質は毎日必要量摂取する必要があるのです。

タンパク質が不足してしまうと、筋肉量が減って身体がたるんでしまったり、肌荒れを引き起こしたりする可能性が高くなります。

普段の食事だけで必要量のタンパク質を摂取するのは意外と大変なもの。そこで、タンパク質を手軽に摂取できるプロテインが、毎日の栄養管理に役立ちます。

決して「プロテイン=マッチョ御用達」ではない
山本 義徳さんからのコメント

プロテインは薬ではなくタンパク質であり、ミルクや大豆などの食物から抽出したものです。

副作用・危険性などはなく安全なものですので、ぜひお試しください。

タンパク質の不足を補うだけで健康面が改善され、筋肉を増やしたりダイエットをサポートしたりといった効果も十分に期待できます。

プロテインと言えばマッチョ御用達のように思われがちですが、決してそんなことはありません。ぜひ皆様の健康のためにお役立てください。

 

1-1.プロテインを摂るメリット

ダイエットのためにプロテインを飲んでいます!
プロテインを摂って健康を維持しています!

といった声が多く見受けられますが、そもそもなぜプロテインを摂った方が良いのでしょうか?

プロテインを摂るメリットを目的別に詳しくご紹介します!

 

① 身体の健康を維持できる

プロテインを摂取する最大のメリットは「健康を維持できる」ということ。

人間の身体の大部分はタンパク質でできているため、タンパク質が不足してしまうと、筋肉量が減って太りやすくなる・免疫力が低下するなど、身体の不調を引き起こす可能性が高くなります。

そんな人間の身体に必要不可欠なタンパク質を、必要な時に必要な分だけ摂取できるのがプロテインの魅力です。

プロテインを摂取することは、健康な身体を維持することに繋がります。

食事よりも簡単・手軽にタンパク質を摂取できるのが魅力
山本 義徳さんからのコメント

食事から摂取すべきタンパク質は、1日に「体重1kgあたり1g以上」とされていますが、普通の食事だとなかなか摂ることができません。

特に高齢者になってくるとより難しくなるでしょう。

しかし、プロテインなら健康維持に必要なタンパク質を簡単に摂取できます。

肌や内臓、髪などの材料であるプロテインを摂取することで、身体の健康を維持することができますよ。

 

② 美容・ダイエットに効果的

プロテインは、美容やダイエットにも効果的です。

美しいボディラインを作るためには筋肉が必要不可欠。トレーニング前後にプロテインを摂取してタンパク質を補うことで、たるみのない引き締まった身体に近づけます

また、ダイエット中の間食にも最適です。空腹を解消しつつ、ダイエット時に不足しがちな栄養素を補ってくれるため、健康的にダイエットできますよ。

余計なカロリーを摂取せずにタンパク質を補給可能
山本 義徳さんからのコメント

必要なタンパク質をすべて食事から摂ろうとすると、同時に多くのカロリーを摂取してしまうことになりかねません。

しかし、プロテインなら余計なカロリーを摂取せずに済むため、ダイエットにも役立てることができますよ。

 

③ 筋肉がつきやすくなる

プロテインを摂取すると、筋肉がつきやすくなります。

そもそも筋肉は、

  • 筋肉を使うことで筋肉が壊れる
  • 壊れた筋肉を休ませて修復する

というサイクルを繰り返すことで徐々に大きくなっていく仕組み。壊れた筋肉を休ませる際に適切な栄養補給を行うことで、効率的に修復させることができます。

ですので、トレーニング前後にプロテインを飲むことで、筋肉がつきやすくなるのです。

ただし、プロテインはあくまで、筋肉をつける効果を高めてくれるもの。「プロテインを飲むだけで筋肉がつく」というわけではないので注意しましょう。

大量のタンパク質を摂りたいなら、プロテインは必要不可欠
山本 義徳さんからのコメント

筋肉を増やす場合は、1日に「体重1kgあたり2g以上」のタンパク質が必要とされていますが、普通の食事だけで摂取することは非常に難しいです。

そこで、簡単かつ手軽にタンパク質が摂れるプロテインを活用することで、必要量の摂取が現実的になります。

詳しくは後述しますが、筋肉合成を促進する成分「BCAA」が豊富に含まれている「ホエイプロテイン」を摂取するのが特におすすめですよ。

1-2.プロテインの種類

ホエイプロテイン・ソイプロテイン・カゼインプロテインなど、プロテインには様々な種類があります。

自分に最適なのはどんな種類のプロテイン?
プロテインの種類ごとにどんな特徴があるの?

とお悩みの人に向けて、種類ごとの特徴を詳しくご紹介します!

 

① 筋肉を増やしたい人は「ホエイプロテイン」

筋合成に役立つ「BCAA」が豊富です
山本 義徳さんからのコメント

「ホエイプロテイン」は筋肉を増やしたい人向け。

吸収が早く、筋合成に役立つ「BCAA」が多く含まれているのが特徴です。

牛乳を原料とした動物性プロテインである「ホエイプロテイン」は、筋肉の増量・維持に必要な栄養素「BCAA(分岐鎖アミノ酸)」を豊富に含んでいるため、筋肉を増やしたい人におすすめです。

「BCAA」とは、3種類のアミノ酸「バリン・ロイシン・イソロイシン」の総称です。筋肉の分解を抑えたり、筋肉の合成を助長したりする効果があるため、運動中〜運動後に血液中の「BCAA」を増やすことが重要になります。

「ホエイプロテイン」は体内への吸収が速いため、トレーニング前後に摂取することで、より高い効果が期待できますよ。

 

② ダイエットしたい人は「ソイプロテイン」

腹持ちが良いので、間食におすすめです
山本 義徳さんからのコメント

「ソイプロテイン」はダイエット向け。

吸収がゆっくりで腹持ちが良いことが特徴です。

大豆を原料とした植物性プロテインである「ソイプロテイン」は、体内への吸収がゆっくりで腹持ちが良いため、ダイエットしたい人におすすめです。

また、ソイプロテインに含まれる「イソフラボン」は、女性ホルモンである「エストロゲン」に似た作用があるため、ホルモンバランスを整えたい女性にもおすすめできます。

 

③ 休息日や就寝前にも栄養補給をしたい人は「カゼインプロテイン」

牛乳から脂肪とホエイを取り除いて作られる動物性プロテイン「カゼインプロテイン」は、時間をかけてゆっくりと体内へ吸収されることで効果が長時間持続するため、休息日や就寝前の栄養補給として摂取したい人におすすめです。

また、「カゼインプロテイン」は胃の中に長時間留まる性質があり、満腹感が長時間持続するため、減量中の方にもおすすめできますよ。

摂取する際は、細心の注意を払ってください
山本 義徳さんからのコメント

個人的に「カゼインプロテイン」はあまり推奨しておりません。

統合失調症やアレルギーの原因になる可能性が指摘されているためです。

2.プロテイン摂取量の目安は目的によって異なる

いざプロテインを摂取しようと思ったとき、

どれくらい摂取すれば効果が出るの?
自分に合った摂取量はどれくらい?

と悩む人も多いのではないでしょうか?

目的ごとの適切な摂取量の目安について、山本さんにお伺いしました!

目的ごとに摂取量の目安は異なります
山本 義徳さんからのコメント
  • 健康維持をしたい人なら「1回10g、1日2〜3回」
  • 軽い運動をしている人なら「1回20g、1日2〜3回」
  • 筋肉・体重を増やしたい人なら「1回40g、1日3〜4回」


を目安に摂取すると良いでしょう。

私の場合は、1回40gを起床時・トレーニング前・トレーニング後・寝る前・就寝中の1日5回摂取しています。

3.プロテインを摂取する効果的なタイミング

プロテインっていつ摂取するのが効果的なの?
摂取タイミングを誤ると効果が得られないって本当?

などと、プロテインを摂取するタイミングに悩んだことはありませんか?

効果的な摂取タイミングについて、詳しくご紹介します!

3-1.タンパク質が不足しがちな「朝(起床後)」

朝は体内のタンパク質が不足している状態になっているため、タンパク質の摂取が必要不可欠です。

なぜなら、就寝中に分泌される「成長ホルモン」が、タンパク質を消費して身体の修復を行っているからです。

しかし、朝は時間の確保が難しいため、手軽に食べられるおにぎりや菓子パンなどで朝食を済ませる人も多いのではないでしょうか。

ほぼ糖質でできているご飯やパンだけでは、タンパク質の補給は不十分です。

そんな朝食時にこそプロテインをプラスするのがおすすめ!お手軽なので無理なくタンパク質を摂取できますよ。

「血中アミノ酸濃度」低下による筋分解を防げます
山本 義徳さんからのコメント

就寝中は「血中アミノ酸濃度」がどんどん低下していきます。

「血中アミノ酸濃度」が低下した状態になると、筋肉が分解されてしまうんです。

朝プロテインを摂取することで、就寝時に低下した「血中アミノ酸濃度」を急速にリカバリーできるので、筋肉の分解を防ぐことができますよ。

3-2.トレーニング中の筋分解を防げる「トレーニング前」

空腹状態でトレーニングをすると、筋肉を合成するために使われるはずの栄養素が、トレーニングを行うためのエネルギーとして消費されてしまいます。

栄養が足りないせいで、一生懸命行ったトレーニングの効果が薄くなってしまってはもったいないですよね。

トレーニング前にプロテインを補給すれば、傷ついた筋肉にしっかりと栄養素を吸収させられるため効果的ですよ。

筋分解防止と筋合成促進の両方に効果があります
山本 義徳さんからのコメント

トレーニング前にプロテインを摂取することで、トレーニング中の筋分解を防ぎます

さらに、トレーニング開始時から始まる筋合成を促進することもできますよ。

3-3.筋肉の合成を促進させる「トレーニング後」

トレーニングによって傷ついた筋肉が、タンパク質などの栄養素を吸収することで、筋肉量が増加します。

しかし、体内のタンパク質が不足していると、時間の経過とともに筋肉を分解してエネルギーに変換してしまうのです。

筋肉を付けるためにトレーニングをしているはずなのに、タンパク質不足により筋肉を分解してしまうことになっては非常にもったいないですよね。

そのため、トレーニング後から30分以内のプロテイン摂取がとても大事になります。

トレーニングで傷ついた筋肉に栄養を与えましょう
山本 義徳さんからのコメント

トレーニング後にプロテインを摂取することで、トレーニング後に引き続いて起こる筋合成の材料を補給できます。

3-4.成長ホルモンの働きを促進させる「夜(就寝前)」

就寝中には、筋肉の成長や修復を助長する「成長ホルモン」が分泌されます。

「成長ホルモン」はタンパク質から作られているため、就寝前にプロテインを飲むことで「成長ホルモン」の働きが促進されますよ。

寝る直前に摂取すると胃への負担がかかってしまう可能性があるため、就寝前の30分前に摂取するのが良いでしょう。

「血中アミノ酸濃度」の低下を緩やかにできる点も◎
山本 義徳さんからのコメント

就寝前にプロテインを摂取することで、就寝時に低下してしまう「血中アミノ酸濃度」の低下を緩やかにできることもメリットです。

4.まとめ

今回は、ボディビルダー・トレーニング指導者・ベンチプレッサーとして業界で幅広く活躍中の山本義徳さんへのインタビューをもとに、プロテインを摂取するメリットや効果的な摂取方法についてご紹介しました。

もう一度、プロテインのメリットや効果的な摂取方法について、まとめておきます。

専門家に聞いた「プロテインのメリット・効果」まとめ

プロテインを摂取するメリット
・身体の健康を維持できる
・美容・ダイエットに効果的
・筋肉がつきやすくなる

プロテインの種類と目的
・筋肉を増やしたい人は「ホエイプロテイン」
・ダイエットしたい人は「ソイプロテイン」
・休息日や就寝前にも栄養補給をしたい人は「カゼインプロテイン」

プロテイン摂取量の目安
・健康維持をしたい人なら「1回10g、1日2〜3回」
・軽い運動をしている人なら「1回20g、1日2〜3回」
・筋肉・体重を増やしたい人なら「1回40g、1日3〜4回」

プロテインを摂取するタイミング
・普段の食事だけではタンパク質が不足しがちな「朝(起床後)」
・トレーニングの効果を高められる「トレーニング前」
・時間経過による筋肉の分解を防げる「トレーニング後」
・成長ホルモンの働きを促進させられる「夜(就寝前)」

ちなみに、ボディビルダーの世界大会で優勝した経歴を持つ山本さんの体型は、どのようにして維持されているのか気になりませんか?

そこで最後に、山本さんご自身が日常生活で意識している点について伺いました

「より効率的に筋肉をつけたい!」と思っている人はぜひ参考にしてみてくださいね!

日常生活では「継続のしやすさ」を意識しています
山本 義徳さんからのコメント

私自身が実際に日常生活で意識していることとしては、

  • 1日のタイムスケジュールを安定させる
  • 起床時間や就寝時間をできるだけ固定する
  • トレーニングや食事のタイミングもあまり大きな変化は付けない

この3点ですね。

なお、食事内容は「糖質を減らす3週間」と「好きに食べる3週間」を交互に行い、体脂肪が増え過ぎないようにするとともに、精神的にもストレスなく過ごせるようにしています。

プロテインは、アスリートが筋肉をつけるために摂取するという目的だけでなく、一般人の健康維持やダイエットにも高い効果を発揮するものだということがわかったのではないでしょうか。

みなさんもプロテインを摂取して、健康・美容・ダイエットにぜひ役立ててみてくださいね!