嫌いな家事No.1に選ばれるなど、何かと面倒なアイロンがけ。
そんな思いをしてもきれいに仕上げられないなら、クリーニングに出してしまった方が確かに楽かもしれません。
しかし、クリーニング代は案外かかりますし、突然「明日必要になった!」なんてこともありますよね。
面倒なアイロンがけですが、4つのポイントさえ押さえれば、クリーニングに出した後のような仕上がりが実現可能です。
今回はワイシャツにアイロンをかける時に、絶対に守るべき4つのポイントと、アイロンをかける手順をアイロン台を使った場合と使わない場合の両方ご紹介します。
アイロンがけを短時間で終わらせ、きれいになったワイシャツで気持ちよく毎日を過ごしましょう。
(※この記事は2021年1月時点の情報を参考にしています。)
Outline
1. 家庭でも綺麗に仕上がるアイロンがけの4ステップ
アイロンがけのプロであるクリーニング屋さんが教える、家庭でもきれいに仕上げるための4つのポイントをご紹介します。
このポイントを守れば、短時間で仕上げることが可能になるので、忘れずに心がけてみてくださいね。
1-1. ワイシャツは必ず湿らせる
霧吹きなどでワイシャツを湿らせてから、アイロンをかけるようにしましょう。
アイロンのスチーム機能を使うこともできますが、水の分子が小さすぎて繊維にしっかり水分が行き渡らないので、霧吹きを使うことをおすすめします。なぜなら、しわになる原因は、繊維の分子同士の結合が壊れてしまうためです。
ここに適度な水分を含ませてから熱を与えることで全体の結合を一旦緩め、アイロンの圧力で平らに並べ直し、冷める時に分子がまた結合します。
脱水直後の乾かす前にアイロンをかけるという方法もありますが、家庭用アイロンでは熱量が足りず、ワイシャツをしっかり乾燥させることができないので、一度乾かしてから、しっかり霧吹きで濡らす方が望ましいでしょう。
1-2. アイロンがけには両手を使う
アイロンをかける前に、生地全体を押さえて細かいしわを取るようにしましょう。
しわがのびていない状態でアイロンをかけてしまうと、生地が緩んでしわが入りやすくなってしまいます。
アイロンをかけている時は、ワイシャツのアイロンをかけている手とは逆の手で生地を引っ張りながらアイロンをかけます。
こうすることで、変な場所にしわが入ったままアイロンをかけてしまい、余計にしわが取りづらくなる、という事態を防ぐことができます。
なるべくアイロンをかけている近くを引っ張るのではなく、遠くを引っ張るようにすることで、生地全体が伸びますし、アイロンでやけどする可能性も減ります。
1-3. 生地が厚い部分は両面から
襟やそで口のカフス部分は生地が厚いので、片方からだけだとしわがしっかりのびません。
また、襟やそで口のしわがのびていると、全体的にかっちりした印象になりますし、スーツのジャケットなどを着ていると最も見られる箇所なので、特に丁寧にアイロンがけをしましょう。
1-4. アイロンは直線的に動かす
アイロンは必ず直線的に動かします。曲線的に動かすとしわになりやすいので注意が必要です。
先を少し浮かせてお尻の方に力を入れるようにすると、すべるように動かすことができます。逆に先の方に力を入れると、アイロンの尖っている部分に生地が集まってしまい、しわが寄ってしまいます。
この4つのポイントを意識するだけで、まるでクリーニングに出したかのような仕上がりを実現することが可能です。必ずアイロンをかけるときは思い出してみてくださいね。
2. アイロンをかける前に下準備
必ず取り扱い絵表示を見て、アイロンの温度設定や当て布が必要かどうかなどを確認しましょう。
間違った温度でアイロンがけすると、生地が痛み、生地本来の風合いが損なわれてしまいます。また、当て布が必要なのに、当て布なしでアイロンがけをすると生地にテカリが出る場合もあります。
一般的な綿のワイシャツであれば、アイロンの設定温度は中温〜高温、当て布は必要ない場合が多いですが、必ず取り扱い絵表示を確認してからアイロンをかけましょう。
3. アイロン台を使うかけ方
アイロンをかける順番は、細かいところから先にアイロンをかけ、広い部分を最後にかけていきます。
逆にしてしまうと、細かいところをやっているうちに、せっかくしわを伸ばした広い部分がしわになってしまいがちなので、
必ず細かいところを先にしっかりアイロンがけしましょう。 アイロン台の向きは、アイロンを持つ手の反対側が尖っているように置きます。
3-1. 用意するもの
洗濯したもの。ワイシャツの洗濯方法については「ワイシャツの正しい洗濯方法|しわを最小限に抑えるポイント」を参考にしてください。
2. アイロン
アイロンの選び方に関しては、スーツのお手入れについて紹介している「スーツが長持ちするアイロン術|たった5分でかっこいい姿を保つ方法」を参考にしてください。
3. アイロン台
立ったままアイロンがけができるスタンドタイプと、正座してアイロンがけを行う普通のタイプがあります。
1,000円以下の物から、10,000円以上する物までありますので、自分がどんなスタイルでアイロンがけを行いたいかを考えながら選んでみてくださいね。
4. 霧吹き
基本的にどんな物でも構いません。しっかり水を入れておきましょう。
5. アイロンのり
水で湿らせたあとに使うと、よりパリッと仕上げることができます。代表商品はキーピングです。
3-2. 襟
手順1:襟の裏側からアイロンをかけていくため、ワイシャツの内側が自分に見えるように置く
表側からかけると、裏側をかけている時に人目につく表側がしわになる可能性があるので、必ず裏側からかけるようにしましょう。
手順2:洗濯や乾燥の時にできたしわを伸ばすため、両手で襟の端を持って伸ばす
細かいしわを最初にのばすことで、スムーズにアイロンをかけることができます。
手順3:霧吹きとアイロンのりをかける
表面に水滴が見えるくらいしっかりと水分を与えます。アイロンのりは特定の箇所に多くかけすぎないように注意しましょう。
手順4:反対の手で生地をのばしながら、外側から中央に向かってアイロンをかける
手順5:両端から中央に向かってアイロンをかけたら、引っくり返して表側からもアイロンをかける
反対側からアイロンをかける場合はアイロン自体を持ち替えた方がやりやすいので、両方の手を使ってアイロンをかけましょう。
両端に細かいしわが入ってしまった場合は、アイロンの先の尖った部分をゆっくりと押し当ててしわをとります。
手順6:襟の折り目にアイロンをかける
両側から中心に向かってアイロンがけをします。折り目がきれいにつくように丁寧にかけましょう。
3-3. 肩(肩ヨーク)
手順1:アイロン台の尖った部分に肩を引っ掛けて、えりを立てて置く
肩の部分は立体感を意識してアイロンをかけていきます。
手順2:肩の半分にアイロンの全体をつかってアイロンをかける
手順3:襟の付け根の部分は、アイロンの先を使ってかける
細かい部分はアイロンの先の方だけ使って、ゆっくりとしわをのばしていきましょう。
手順4:半分が終わったら、ワイシャツをぐるっと回して、反対側も同様にかける
3-4. そで口(カフス)
手順1:裏側からかけるため、ボタンを外してアイロン台の上に置く
そで口も襟と同様、人目につく表をあとで仕上げるために、裏側からかけていきます。
手順2:縫い目を引っ張りながら端から中心に向かってかける
細かい部分なので、やけどには充分注意してください。
手順3:表も同じように、端から中心に向かってでかける
手順4:そでを二つ折りにして、タック(折り目部分)を整え、上から押さえるようにしてかける
3-5. そで
手順1:ボタンがついている方を上にする
そでの部分は基本的には片方からのみアイロンをかけます。タックの部分がしわになりやすいので、ボタンがついている方からアイロンをかけます。
裏側もしわをのばしたい場合は、先に裏側からアイロンをかけて、後からタックがある側を仕上げるようにしましょう。
手順2:そで下の縫い目の部分を引っぱり、手全体で押さえながらしわをのばして整える
縫い目を基準にしてしわをのばしていきます。引っ張るだけではなく、手のひらで押さえるようにすると細かいしわを取ることができます。
手順3:縫い目に沿ってそで口から肩に向かってかける
手順4:そで口のボタンがついている辺りはアイロンの先を使って細かいしわをとる
手順5:そでと前身ごろの間の縫い目の部分は、縫い目に沿ってしっかりとかける
3-6. 右前身ごろ(ボタンがついている方)
手順1:アイロン台の角を使いながら右前身ごろ1枚だけの形を整える
後ろ身ごろも一緒にアイロンをかけてしまわないように注意しましょう。
手順2:脇の縫い目にアイロンをかける
手順3:反対の手で引っ張りながら全体にかける
手順4:ボタンがついている部分は、アイロンの先を入れてしっかりかける
3-7. 後ろ身ごろ
手順1:大体半分ずつかけていく。アイロン台の上に載せて、手でしわををのばす
一気にかけるのではなく、右半分・左半分を分けることによって、余計なしわが入ることを防ぎます。
手順2:アイロンをかけている手と反対側の手でのばしながらゆっくりとかける
手順3:タックと呼ばれる折り目が背中心の辺りにある場合は、手でまっすぐに整えてからかける
タックはすその部分まで入っていても、背中の真ん中辺りで途切れても問題ありません。自分の好みに合わせて入れてください。
3-8. 左前身ごろ(ボタン穴がついている方)
手順1:右前身ごろとかけかたは同じ
手順2:ポケットはふくらみを意識しつつ、下からポケット口、外から中に向かってアイロンをかける
最後は軽くアイロンを持ち上げるようにかけると、自然なふくらみになります。
4. アイロン台を使わないかけ方
アイロン台は場所を取るし買うのも面倒、という場合もあると思います。
アイロン台がなくても、机の材質やアイロンの温度などに気をつければ、普段使っている机でもアイロンをかけることが可能なので、やり方をご紹介します。
4-1. 用意するもの
それぞれの用意するものの詳細については「3. アイロン台を使うかけ方」を参考にしてください。
2. 机
テーブルの上でアイロンがけを行う場合は、机の塗料が溶けて衣類についたり、逆に衣類の化学繊維が机に張り付いてしまったりする場合があるので充分注意してください。熱に強いこたつのテーブルなどがおすすめです。
3. バスタオル、または手ぬぐい2枚程度
机と洗濯物の間に敷いて断熱材として使うため、古くなった物を使う方が良いでしょう。
また、バスタオルより手ぬぐいの方が表面がつるつるしていて使いやすい場合が多いです。1枚で心配な場合は2枚重ねて使いましょう。
4. 霧吹き
基本的にどんな物でも構いません。しっかり水を入れておきましょう。
5. アイロンのり
水で湿らせたあとに使うと、よりパリッと仕上げることができます。代表商品はキーピングです。
バスタオルでは不安、という方は机の上に敷いて使う専用の商品を「4-3. アイロン台の代わりになるおすすめの商品」でご紹介しますので、参考にしてみてください。
4-2. 部分別アイロンのかけ方
基本的には「3-2. 襟」からご紹介した通り、部分毎にアイロンをかけていきます。
ただし、平らな場所でかける時には特にアイロンをかける前に、丁寧に手でしわをのばすことが必要です。
また、アイロン台の先に引っ掛けることができない部分に関しては注意が必要なので、その部分だけご紹介します。
肩
肩の場合は、肩の部分の10cm〜15cm下くらいで後ろ身ごろを折って、折り目を机の下に落とし、襟を立てた状態でアイロンをかけます。
ポイントは、一気にアイロンをかけるのではなく、少しずつ分けてアイロンをかけることです。
一気にかけようとするとしわが入って余計に時間がかかってしまうので、多少面倒に感じるかもしれませんが、左半分・真ん中・右半分というふうに分けて少しずつアイロンをかけていきましょう。
また、仕上げとしてバスタオルを丸めて肩の部分に入れて、やけどに気をつけながらアイロンをかけると、立体的に仕上がります。
後ろ身ごろ
生地を台の下に落とすことができない場合、平らな机の上に生地全体を置くことになるので、しわが入りやすい状態になります。
後ろ身ごろの3分の1ずつ、しわが入らないような状態でアイロンをかけるようにしましょう。
アイロンがけをする前に手でしわをのばすことも忘れないでください。
4-3. アイロン台の代わりになるおすすめ商品
セラミックでできたアイロンマットやアイロンミトンなどが販売されています。
アイロン台と比較するとスペースをとらず、価格も安い物で1,000円以下と安価なので、アイロン台は買いたくないけれども、机にバスタオルでは不安…という方にはおすすめです。
アイロンマット
このマットを広げるだけで家庭の机がアイロン台になります。多重構造で熱を反射するので、効果的にアイロンがけを行うことが可能です。
また、大きめのサイズなのでワイシャツやズボンなどのアイロンがけをスムーズに行うことができます。
アイロンミトン
手につけて、かけた状態のワイシャツの裏にあててアイロンがけができるので省スペースです。
細かい部分や肩・そで口・腰回りなどを立体的に仕上げられますが、反対側の手でしわをのばしながらアイロンがけを行うことができないので、多少しわがのびにくくなります。
5. アイロンがけ後のたたみ方
アイロンがけが終わったら、しっかり生地が冷めるまでハンガーにかけて置いておきましょう。
生地がまだあたたかい状態でたたんだり着たりしてしまうと、また繋がっていない分子が崩れてしわが入ってしまいます。
目安としては、最低でも30分は置いておくと望ましいでしょう。 そのままハンガーにかけて保管してもいいのですが、たたんだ方がスペースも取らず、ほこりなどもつきにくくなります。
また、ワイシャツはかけっ放しにしていると肩の部分にハンガーのしわが入ることもあるので注意が必要です。
きれいにアイロンがけしたワイシャツをたたんで収納したい場合は、「ワイシャツのたたみ方と収納法|しわを少なくきれいにたたむ方法」でたたみ方を紹介しているので、参考にしてくださいね。
6. まとめ
今回は、自宅でもできるワイシャツのアイロンがけについての紹介をお届けしました。
アイロンがけは確かに面倒かもしれませんが、自分で綺麗に仕上げたワイシャツに袖を通すとシャツへの愛着が湧き、その1着を大切に扱おうという気持ちも出てきます。
ここで紹介した内容を参考にしていただければ、自宅でもクリーニングに出したような仕上がりを実現できますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。