自分ではなかなかわからない、お口の臭い。
「周りに口が臭いと思われてたらどうしよう…」
…と気になりますよね。
そこでこの記事では、
- 口臭を予防するブラッシング
- 口臭に効果的な歯磨き粉・洗口液の見分け方
- 口臭が気になるときの応急措置
…といった口臭の予防法を、歯科医師がわかりやすくご紹介します。あわせて、口臭の種類や詳しい原因についても解説。
正しい対策を行って、お口の臭いを気にせず会話やコミュニケーションを楽しみましょう!
海老名総合病院歯科口腔外科勤務のち、一般歯科・歯科口腔外科にて勤務。現在は子育てのため、専門知識を活かした執筆業に専念。
※記事内の情報は2024年10月時点の情報です。
1.口臭の種類と原因
口臭にも種類があることをご存知でしょうか?
口臭を正しく予防するために、まずは口臭の3つの種類と原因を簡単に見ていきましょう。
▶口臭の種類①
生理的口臭…生理現象により誰にでも起こる口臭
寝起きや空腹時・緊張時などの唾液が減少したタイミングに感じられる、誰にでも起こる口臭です。
唾液の量が減ると自浄力(お口の中の汚れを洗い流す唾液の作用)が落ち、口臭の原因物質「VSCガス」が発生しやすくなります。
口内の細菌のひとつ「嫌気性菌」がタンパク質やアミノ酸を分解することで産生される、強いにおいのするガスのこと。
その他の原因として、においの強い食品・タバコなどの嗜好品・薬物・女性のホルモンバランスの変化も挙げられます。
▶口臭の種類②
病的口臭…口内の疾患や病気が原因の口臭
磨き残しによる歯垢(プラーク)や舌苔、歯肉炎などが原因です。
このほか、入れ歯のプラスチック材料へのにおい移り、鼻やのどの病気、全身疾患が原因のことも。
▶口臭の種類③
心理的口臭…口臭があると思い込んだ状態
実際には口臭がないにも関わらず、周りの発言や態度から自分には強い口臭があると思い込んでしまう心因性口臭(自臭症)の場合も。
周りの方に相談してみたり、必要に応じて医療機関に相談してみるのもひとつの手です。
思い当たる原因はありましたか?
これらの中でも口臭の一番の原因が「舌苔(ぜったい)」。
舌苔は舌の表面に苔のようにはりつく白~淡黄色の物質で、口臭の原因物質であるVSCガスを大量に発生させてしまいます。
丁寧な歯磨きやオーラルケアでしっかり対策する必要がありますよ。
口臭以外に異常が見られる場合には別の疾患の可能性も。
不安な時は医療機関に相談してみてくださいね。
では次から、そんな口臭の予防法について詳しく見ていきましょう!
2.口臭を予防する4つのポイント
口臭の効果的な予防法は、以下の4つ。
- ① ブラッシングで口内を清潔に保つ
- ② 歯磨き粉やマウスウォッシュを活用する
- ③ 口臭が発生しやすい飲食物を避ける
- ④ 口呼吸をやめて、鼻呼吸にする
それぞれ詳しく見ていきましょう!
口臭の予防法①
徹底的なブラッシングで口内を清潔に
口臭の大きな原因は、舌苔やプラーク(歯垢)といった食べかす汚れ。
そこでまずは、こうした汚れをブラッシングで徹底的に除去しましょう。
▶アイテム別のブラッシングのコツ
・毛の硬さは「普通」
・力をかけすぎないように優しく小刻みに磨く
・自分の歯間に合うサイズを使う
・歯茎を傷つけないように細かく動かす
・歯ブラシ、歯間ブラシで取れない歯垢を取る
・通すだけでOK。
時間がある時は歯に沿わせるよう使うのも◎
・舌を傷つけないよう優しい力加減で行う
・柔らかい歯ブラシや目の荒いガーゼで代用可
最初からすべてを行う必要はありません。
できるところから少しずつ実践してみましょう!
舌清掃は朝一回行えば十分ですが、日中、口臭が気になったときにさっと行うだけでもかなりの効果を得られます。
ぜひ試してみてくださいね。
口臭の予防法②
歯磨き粉やマウスウォッシュの活用
歯磨き粉やマウスウォッシュは、成分からしっかり選ぶことで高い口臭予防効果が期待できます。
▶おすすめ成分一覧
成分の種類 | 成分名 |
殺菌成分 | ・グルコン酸クロルヘキシジン (クロルヘキシジングルコン酸塩) ・ラウロイルサルコシンNa ・イソプロピルメチルフェノール ・塩化セチルピリジニウム(CPC) ・塩化ベンゼトニウム(BTC) |
抗炎症成分 | ・グリチルリチン酸ジカリウム ・グリチルリチン酸アンモニウム ・βーグリチルレチン酸 |
矯味剤 | ・ヒノキチオール ・l-メントール ・緑茶抽出液 |
洗浄成分※ | ・ゼオライト |
※におい分子の吸着効果
商品説明や成分欄で、上記のような成分が配合されたものを選びましょう。
成分で選ぶのが難しい場合は、
- 「薬用/医薬部外品」
- 「医薬品」
に分類されたアイテムを選びましょう!薬効のある成分が配合されていますよ。
殺菌成分、抗炎症成分が入っているものは薬効が期待でき、各種矯味剤はお口をさっぱり爽やかにしてくれます。
口臭の予防法③
口臭が発生しやすい飲食物を避ける
口臭を発生させやすいものを口にしないようにしてみることも口臭予防に効果的です。
- にんにく、ネギ、らっきょう、ニラ
…におい成分の「アリシン」が含まれる - コーヒー
…微粒子が舌につきやすい&唾液を減少させる - アルコール類
…利尿作用で唾液の分泌を抑えてしまう - タバコ
…タバコ成分のタールが付着して独特のヤニ臭を発生
面接前や接客前などの口臭を特に防ぎたいタイミングには、こうした食べ物や嗜好品を口にしないように心がけましょう。
▶どうしても口臭が気になるときの応急対応
「においが気になるけど、歯磨きも舌磨きもできない…。」というときもありますよね。
そこで、口臭が気になるときの応急対応法をまとめました。
・濃い目のお茶を飲む
・濃い目のお茶で口をゆすぐ
・ガムを噛む
・酸っぱいものを想像して唾液を分泌させる
(梅干しやレモンなど)
これらの対策で、ある程度はにおいを抑えられます。機会があればぜひ試してみてくださいね!
また、アリシンを含む食物によるにおいには牛乳を飲むのも効果的です。
牛乳のタンパク質がアリシンの成分を包み込むことで、多少はにおいを抑えることができますよ。
口臭の予防法④
口呼吸をやめて、鼻呼吸にする
普段もし口で呼吸をしている場合、鼻呼吸にすることも口臭予防に効果的です。
口呼吸をしていると口の中が乾燥し、唾液の自浄作用が適切に機能しなくなります。
その結果、口の中の細菌が増えて、
- 口臭の悪化
- 虫歯や歯周病
- 喉の病気や風邪
…といった様々なトラブルを引き起こしやすい状態になってしまいます。
口臭以外のトラブルを防ぐためにも、鼻呼吸をするように心がけてみてくださいね!
鼻で呼吸することを意識してみるだけでも効果的ですので、ぜひ一度実践してみてくださいね!
3.それでも改善しない場合は?
前章の予防法でも口臭が改善しない場合は、医療機関を受診しましょう。
歯科もしくは口臭外来を設けている大学病院などの受診がおすすめですよ。
唾液の分泌量の調査や、口臭に含まれる口臭成分からその程度を測る口臭検査装置による検査が必要に応じて行われます。
4.まとめ
ご紹介した予防法を徹底することで、お口の臭いを気にせず過ごすことができますよ。
無理せずできるところから、ぜひ実践してみてくださいね。
・角田 正健,喜多 成价,久保 伸夫,角田 博之,福田 光男,本田 俊一「口臭への対応と口臭症治療」におい・かおり環境学会誌 44巻4号 平成25年
・山内 聡,菅野 勝也,髙田 訓「運動ストレスと口臭に関する研究」日本口腔診断学会雑誌 2017 年 30 巻 3 号 p. 243-248
・喜多村 尚, 小原 郁夫「女子大生の月経周期における唾液分泌反応の日内変動」日本栄養・食糧学会誌 2010 年 63 巻 2 号 p. 79-85
・川添裕樹, 山本明子, 繁田考祝,福本奈穂,大石良江 「ブラシの種類別による舌清掃効果~舌の菌量の変化より~」2013年07月22日 J-GLOBAL