人生において大きな節目である「30歳」という年齢。それは転職の時でも例外ではありません。
「30歳を超えると転職がしづらい」
「30歳で未経験職種の転職は無謀」
巷ではそんな声も聞こえてくるほど、多くの人が30歳での転職に不安を感じています。
そこで、今回は30歳での転職における大切なポイントや注意点、そして30歳でも未経験職種に転職はできるのか詳しく解説していきます。
自身の今後に大きく関わってくる「転職」を、正しい知識と適切な判断で成功へと導いていきましょう。
(※この記事は、2017年2月時点での情報を参考にしています。)
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1. 30歳での転職で知っておくべきこと
30歳の転職で難しいところは、つい最近まで20代だったのに、30代として転職市場で扱われてしまうところです。
20代の頃と同じマインドでは通用しないので、戸惑う人も多いのではないでしょうか?
転職は年齢によって抑えておくべきポイントが変わります。
30歳での転職で不安を抱えている人はぜひ、参考にしてみてください。
1-1. 「年齢」は不利になる?
やはり、転職を考える上で気になるのは「年齢」です。
よく言われるのが、20代はやる気や将来性を重視して採用され、30代は即戦力やマネジメント力を期待されて採用されるというものです。
これは確かにその通りで、多くの面接官が実際に口にしていることです。
30代に入ったばかりの「30歳」の場合、まだマネジメント力は求められないものの、年齢的には新卒採用から7〜8年経っているので、“即戦力”として会社に貢献できるかというのは当然見られる部分です。
そういう意味では、即戦力としての実力がないと「年齢」は転職では不利になってしまう要素です。
だからといって30歳で転職は難しいというわけではなく、今ではかなりハードルが下がっているのも事実です。
これは、厚生労働省が発表した雇用動向調査のグラフで、これまでの労働人口と有効求人倍率の推移を表しています。
調査結果は2014年までしかありませんが、2017年現在まで大きな景気の変動はないので、概ね結果に差は生じないでしょう。
これを見ると、リーマンショックによる就職氷河期が起きた2009年頃と比べると、2014年は有効求人倍率が大幅に上昇しています。
さらに日本は人口減少と高齢化が進んでおり、労働人口も減少しています。1998年と2014年を比べてみると200万人も減少しているのです。
つまり、今は売り手市場となっており、中途採用での求人も増えてきているのです。
そして、労働人口も高齢化しているため、以前ほど転職時の年齢という壁は問題にならなくなってきています。
ですから、20代と同じ土俵というわけにはいきませんが、30歳での転職は以前よりも容易になってきているということは覚えておいてください。
1-2. 30歳の転職者に求められるもの
30歳の転職者に企業が求めるものは、今まで培った「スキル」や「経験」です。
労働人口の高齢化によって30歳はまだ「若手」の部類に入るものの、実務経験はある程度積んでいると判断されます。
早い人だと管理職のポジションに就いていることもあるので、そのようなマネジメント力をアピールできれば転職はもちろん、前職よりも大幅な給与アップも期待できます。
ただ、そのような人は稀で、ほとんどの人は転職先を見つけるだけで精一杯だと思います。
そこで、ポイントとして、自身の「武器」は何なのかを一度見つめ直すことをおすすめします。
企業は、その人が会社に利益をもたらしてくれることを期待します。
そのため、自身がどんな「武器」を持っていて、それをどのように活用して利益を生むことができるのかを示すことができれば、メリットのある人材として採用も前向きに検討してもらえます。
その「武器」がスキルと呼べるほどのものでなかったとしても、それをどのように活かし、将来どんなポジションを目指すかといった、明確な「ビジョン」を伝えることで、評価は高まります。
そして「30歳」という年齢は企業にとっては魅力的な年齢に映ることも珍しくありません。
それは、20代にはない知識や経験を持ち、40代、50代にはない柔軟性を持っているからです。
終身雇用が崩れた今、そのような即戦力かつ環境の変化に柔軟に対応できる人材は、企業が求める人物像といえます。
1-3. 未経験職種でも大丈夫?
今いる業界が肌に合わないなどを理由に、30歳から未経験職種への転職を目指す人も少なくありません。
年齢的には未経験職種の求人が豊富なギリギリの歳と言えるでしょう。30代後半になると一気に減ってしまうのが現実です。
キャリア形成という観点からも、未経験職種への転職は慎重に行いたいところです。
それでは、実際に30代前半で未経験職種の転職にチャレンジした人達の声はどうでしょうか?
このアンケートでは半数以上の人が未経験職種への転職は難しいと感じています。
やはり、30代では20代の頃のようにやる気をアピールするだけでは採用を決めるのは厳しいようです。
ですが、「難しかったので諦めた」という人は2.2%とごく僅かです。
つまり、30歳で未経験職種への転職は、茨の道ではあるけど決して不可能ではないということになります。
そこで意識したいのが、前職での経験やキャリアを未経験の仕事に活かせる点がないかということです。
これは「1-2. 30歳の転職者に求められるもの」での「自身の武器」と同じですが、未経験職種でも前職で培ったスキルが役に立つことは多いからです。
例えば、「販売職」から「営業職」に転職する場合、前職で培った対人スキルは大きな武器になります。
販売職でのセールストークを営業でも活かせば、それは自分だけのスキルになります。
このように、スキルは固定されたものではなく、グラデーションのように移行できることが多いので、それを企業に示すことが未経験職種での転職の近道となるでしょう。
1-4. 30歳の平均転職回数
30歳ともなると、転職をすでに経験済みという人も多いか思います。
終身雇用が長く続いた日本では、会社を何回も変えることにネガティブな感情を抱く人も少なくありません。
そして、自分の転職回数は一般的に多いのか少ないのかは、誰もが気になるところです。
もし多いのならそれは不利になってしまうのでしょうか?
これは2014年に行われた転職回数の調査グラフです。
30代は8割の人が転職経験があるということなので転職市場は非常に盛んであることがわかります。
肝心の転職回数を見てみると20代〜30代は1〜2回、多くても3回という人が多いようです。
30歳の場合、3回を超えると一般的に多い方と言えるでしょう。
では、次に転職回数と成功率についてのグラフを見てみましょう。
30〜34歳の場合、3回目からの転職成功率が大きく下がっています。
これはつまり、企業側も30歳で3回以上転職している人は長続きしないと見なし、採用を見送る確率が高いということです。
会社としてもすぐ辞められてしまっては、採用と教育に掛かったコストを回収できないので慎重になってしまうようです。
ただ、業界によってはあまり転職回数を気にしない所もあります。
それが「外資系企業」と「ベンチャー企業」です。
・外資系企業
外資系企業は雇用形態に対する考え方が日本企業とは違うので、雇用の流動性を良しとするカルチャーがあります。
その分、求められるパフォーマンスが高いとも言えます。
外資系企業であっても、日本の労働基準法は遵守しなくてはならないので、成果を出せなくてもすぐに解雇されることはありませんが、肩身の狭い思いをすることになるかもしれません。
ただ、平均的な給与も高く、社員一人ひとりの自主性を尊重する会社が多いので、こうした点に魅力を感じて転職する人も増えています。
自分のスキルに自信があり、常に成果が出せるという人は向いているのでおすすめです。
・ベンチャー企業
こちらも本人の能力やキャラクターを重視する傾向があるため、転職回数が多くても積極的に採用する会社が多いです。
ただ、デメリットもあります。
ベンチャー企業は人員がギリギリなので、即戦力としてのパフォーマンスはより強く求められますし、長時間労働に陥ることもあります。
双方メリット、デメリットはありますが、転職回数が多くてなかなか採用されないと悩んでいる人は、これらも選択肢に入れてみてはいかがでしょうか?
2. 転職を成功させる4つのポイント
転職で大切なのが正しい知識を身につけることです。
どんなにキャリアに自信があり、豊富な人脈を持っていたとしても、間違ったやり方では望んだ結果は得られません。
そこで、実際に転職活動を始めるにあたって抑えておくべき4つのポイントを解説していきます。
2-1. 優先順位を決める
転職する理由は人によりさまざまですが、目的を明確にすることはとても重要です。
例えば「年収を上げたい」「プライベートを充実させたい」「働きやすい環境の職場がいい」などを全て叶えるとなると探すだけで何年も掛かってしまいます。
あらかじめ、自分の中でこれだけは譲れない条件というものを決めておけば、求人を探す時も迷わずに効率良く進めることができます。
そして、転職理由を明確化していく内に、自分にとって本当に大切なものが見えてくるものです。
その絶対に譲れない大切なもの以外は、条件によっては捨てるくらいの気持ちで転職活動に臨みましょう。
ちなみに転職する理由として「他にやりたい仕事がある(13.0%)」が最も多く、一般的に給与よりも仕事のやりがいを重視する傾向にあるようです。
その次に多いのが「会社の将来性が不安(9.3%)」で現状の会社の業務内容や、その取り組み方に不満を持っている人が多いです。
このように今一度、自分が何に不満を持っていて、優先すべきはどんなことなのかを見つめ直してみると良いでしょう。
2-2. 自分の市場価値を知る
例えばある商品を売る場合、その商品のどこが優れているかを理解していなければお客様に勧めることはできません。
それと同じで、転職でも自分を売り込むために、面接では自身が会社にとってどのようなメリットをもたらすことができるのかを把握しておく必要があります。
その「メリット」を明確にするのが、自分の市場価値を知るということです。
では、市場価値とは何なのでしょうか?
それは大きく分けると「専門的なスキル」と「汎用的なスキル」の2つに絞られます。
・専門的なスキル
これは、例えばソフトウェアエンジニアとしての経験や独自で構築した営業スキルなどのプロフェッショナルな能力のことです。
代えの効かない知識や経験は企業にとっても魅力的です。それが需要の高いものならなおさらです。
つまり、需要はあるが希少性の高いスキルを保有していると「市場価値が高い」と言えます。
・汎用的なスキル
持ち運び可能なスキル、例えばコミュニケーション能力やマネージメント力がそれにあたります。
これらは、希少性という点では劣りますが、どの分野にも活かすことができる万能さが魅力です。
専門的なスキルと違い、未経験業界でも役に立つので磨いておいて損はないでしょう。
これらを踏まえ、自分の市場価値を知っておきたいところですが、一つ注意点があります。
それは、自身の市場価値を高く設定しすぎないということです。
これは前職の給与が高かった人が特に陥りやすいです。
給与はその会社によって評価基準がさまざまです。業績面を重視する所もあれば、人間性に重きを置く所もあります。
高給だったから自分の市場価値が高いとは限らないのです。
そして、給与は能力によって決定されていないケースも多々あります。
例えば、
・年収の高い業界にいた
・元々シェア1位の商品だったので営業成績が良かった
・年功序列で給与が高かった
などです。
これらは、自身の能力を反映していないケースもあるので、市場価値として加えるのは難しいです。
あくまで業界や会社の力に頼らず、自身の生み出した価値を判断基準にしましょう。
自身の市場価値を知るには客観的な判断が不可欠ですが、自分ではなかなか難しいので転職エージェントなどを使って一度評価してもらうのもおすすめです。
2-3. 転職活動は在職中に
よく、現在の会社を辞めてから転職活動を始める人がいますが、一般的に在職中に活動した方が良い結果が得られます。
もちろん、辞めてから転職活動した方が時間を捻出しやすいというメリットもありますが、金銭面や精神面での不安が生じやすいため、おすすめできません。
主なデメリットとして、
・収入が途絶えることによる生活資金の枯渇
・なかなか採用が決まらないことで精神的負担が増加する
・生活リズムが崩れ、自堕落な生活になる
が挙げられます。
そして一番の懸念が「焦りによる希望条件の妥協」です。
「2-1. 優先順位を決める」で決めた“これだけは譲れない条件”が達成できなければ転職できたとしても成功とは言えません。
ですが、生活資金が底をついたり、内定が採れないで精神的に追い詰められたりすると、その条件すら妥協してしまいます。
その結果、「前職の方が給与も仕事面も良かった」「転職先がブラック企業だった」などの失敗が起こってしまいがちです。
また、生活資金に余裕があるから大丈夫という人でも、転職先が決まらず1年以上空白期間が空いてしまうと選考時でマイナス要素になってしまうこともあります。
逆に言うと、仕事を続けながら転職活動をすればこれらのことは防げるので、無計画に辞めたりしないようにしましょう。
2-4. 複数の手段を持つ
転職は一つの手段に拘らず、多方面からのアプローチを実行するべきです。
例えば、転職サイトや転職エージェントはもちろん、知人や友人から紹介してもらえそうな求人がないか聞いてみたり、企業のホームページから直接応募したり、方法はさまざまです。
今ならFacebookなどのソーシャルメディアを使えば、企業と直にコンタクトを取ることも可能です。
また反対に、企業からダイレクトメッセージが来てスカウトされることもあります。
ソーシャルメディアのような人柄や考え方が伝わりやすい場では、企業も「労働意欲」や「人間性」を判断しやすいので、採用ツールとして積極的に利用しているのです。
外資系企業が利用していることが多いですが、「LinkedIn」や「Wantedly」といったビジネスに特化したSNSもあるので、それらを使えばさらに求人の幅も広がるでしょう。
重要なのは「窓口を多く持つ」ということです。転職活動時はそのことを常に念頭に入れながら動くことが大切です。
もし、転職サイト以外の窓口が見つからないという人は、最低でも転職サイトを3つは登録するようにしましょう。
3. おすすめ転職サイトランキング
転職活動では必須ともいえる転職サイト選び。
今回は編集部が厳選した30歳の転職者におすすめしたい3つの転職サイトをランキング形式で紹介します。
ぜひ、参考にしてみてください。
1位:リクナビNEXT
国内最大規模の転職サイトである「リクナビNEXT」は、転職者の8割が登録する人気求人サイトです。
会員数600万人以上、掲載求人数5,000件以上と業界最大手ならではの充実したネットワークが魅力で、豊富な求人数の中から自分にぴったりの求人を見つけることができます。
また、登録してレジュメを記入すると、サイトでは未掲載の特別求人が閲覧可能になったり、企業や提携エージェントから直接オファーが届く「スカウトサービス」が利用可能になります。
転職活動をする上では登録必須の転職サイトと言えるでしょう。
【公式HP】https://next.rikunabi.com/
2位:マイナビ転職
マイナビ転職は、国内大手のマイナビグループが運営する転職サイトです。
リクナビNEXTと同様、全国の求人を扱っていて、守備範囲が広いのが特徴です。
ユーザー層は20代後半から30代前半が多く、求人は大手よりも中小・ベンチャーに強いので、これから会社と共に成長していきたい、いずれ中心メンバーとして経営にコアに関わっていきたいという人におすすめです。
【公式HP】https://tenshoku.mynavi.jp
3位:MIIDAS
「DODA」でお馴染みのインテリジェンスが運営する新感覚の転職サイトとして話題のMIIDAS。
「2-2. 自分の市場価値を知る」で市場価値を知ることの重要性を解説しましたが、MIIDASはアプリを使って簡単に市場価値を計測し、それにマッチした企業からオファーメールがもらえる仕組みになっています。
他の転職サイトと違って、オファーを受けた場合は書類審査免除で「面接確約」となっているので、本気度の高い企業が多いのも特徴です。
【公式HP】https://miidas.jp
4. まとめ
30歳という年齢はこれからのライフプランを考える時期です。
そのため、キャリアアップ、または心機一転のため、転職を試みる人も多いのですが、30代としての転職は初めてなので戸惑う人も少なくありません。
ですが、ポイントを押さえて冷静に臨めば、誰でも30歳での転職は可能です。
今回の大事な点をまとめると
・労働人口の減少&高齢化のため、30歳は売り手市場(求人が豊富)
・30歳の転職者に求められるのは「即戦力」と「柔軟性」
・市場価値とは「専門的なスキル」と「汎用的なスキル」を合わせたもの
以上の3点となります。
これらを常に頭に入れながら焦らず、冷静に自身の望む内定を獲得しましょう。