すべての人にとって持続可能(サステナブル)な世界を目指すための国際目標、「SDGs」。

特集「カスタムライフ SDGs LIFE」では、そんなSDGsの取組みを行う企業や団体にお話を伺っていきます。

今回お話を伺ったのは、スキンケアブランド・アテニアの代表である斎藤 智子さん。

時代に先駆け、1995年から環境問題に配慮して化粧品を開発していたブランドの背景や思いを伺いました。

お話を伺ったのは…
株式会社アテニア
代表取締役社長
斎藤 智子さん
1997年ファンケル入社後、1999年にアテニアへ移籍。受注センター、商品企画部、上海事業部などを経て、2019年3月に44歳で代表取締役社長に就任。自ら発案した「一流ブランドの品質を、1/3価格で提供することに挑戦し続けます」というブランドポリシーのもと、女性によりよいアイテムを届けるために尽力している。

 

1.アテニアの理念とSDGsの取組み

─本日は、よろしくお願いいたします。まずは、アテニアのブランドについて簡単にご紹介いただけますか?

斎藤さん:アテニアは「女性にとって本当に良いものを、適正価格でお届けする」というコンセプトで作られたブランドです。

アテニアのユーザーは40代前後の女性が多くいらっしゃいます。この方々は、家庭やお子さんのために忙しく働く日々の中で、自分のために使えるお金が少なくなってしまう世代です。

そうした皆さんに向けて本当に上質で価値のあるアイテムを、無理なく続けられる価格で提供できるように30年以上、研究・開発を続けています。

この「一流の品質のものを適正価格で」という方向性のもと、スキンケアに限らずヘアケアやファッションまで、女性の日常に寄り添えるアイテムを幅広く取り扱っています。

いち早く取り入れた、環境への取組み

─アテニアは、1995年というかなり早い時代から環境に配慮した取組みをされています。どのようなきっかけや考え方で動かれていたのでしょうか?

斎藤さん:1995年にエコに取組み始めた一番最初のきっかけは「容器を捨てるときに罪悪感を覚える」というお客様の声でした。

女性って、本能的に未来を意識するシーンが多いと思うんです。特にお子さんがいる場合は「この子の未来はどうなっているんだろう」という形で、環境問題のことを自然と意識される方が多い印象です。

そういう女性が、スキンケアアイテムを1個使い切ったあとに、容器をゴミ箱に「ゴトッ」と捨てるのに罪悪感を抱いていらっしゃって…。

その気持ちを弊社に伝えてくださいました。当時はガラス製のパッケージを使用していたので、余計にその印象が強かったと思います。

そうした「容器を捨てたくない」というお客様のお声をもとに開発を行い、1995年に誕生させたのが、環境に配慮したパッケージの「エコパック」です。

こうした環境保全の取組みに関していえば、アテニアはかなり早くから、そういった面に配慮して動けていたのかなと感じますね。

斎藤さん

社内でSDGsについて話が出たときも、「私たちに何ができるんだろう?」というよりは「私たちの存在そのものが、SDGsなんじゃない?」という新たな気づきがありました。

2.時代に先駆けた「エコパック」

─アテニアの環境保全活動を代表する「エコパック」について、具体的にお話を伺えますか?

斎藤さん:「エコパック」とは、

  • 詰替え可能で、1つの容器をずっと再利用できる
  • ゴミの減量・減容化ができる
  • 資源を再利用している

…といった点をクリアしている、環境に配慮したパッケージです。

お客様の気分や希望に合わせて選べるよう、通常パッケージとエコパックの2種類を用意しています。

エコパックに関してはこれまで何度もリニューアルを行っており、今後もさらに環境に優しくて使いやすくなるよう、開発・改善を行っていく予定です。

エコでも、オシャレで使いやすく

─エコパックは常に開発と改善を重ねられているとのことですが、開発の際に心がけていることはありますか?

斎藤さん:アテニアでは、家事や子育てで忙しい女性でも使いやすい、「続けられるエコ」を実現させることが大切だと考えています。そこで、

  • 化粧品らしい美しさは妥協しない
  • ワンタッチで詰替えられ、ノンストレス
  • 衛生的に詰替えられる
  • 最後の一滴までしっかり使える

…という4点を兼ね備えたものを開発するよう、常に心がけています。

どれだけエコに配慮したアイテムでも、手間が多かったり使いにくいとストレスが溜まってしまいますし、デザイン性が悪いとスキンケアが楽しくなってしまったりするので…。

とにかく楽で、オシャレで、続けやすいエコなアイテムを作っていければと思いますね。

斎藤さん

「エコだけどちょっと手間…」な例といえば、ペットボトルのラベル。
キャップを取ってラベルをはがして分別するのって、意外と手間じゃないですか?

1本だけなら楽でも、家族が使った何本分ものラベルをはがす際は、かなりストレスになると思っていて(笑)
だから最近のラベルレス商品は本当に画期的!

アテニアも、そうした小さなストレスをできるだけ減らせるような、簡単・気楽に続けられるエコなパッケージを追求しています。

お客様目線で、前代未聞の開発も

─アテニアのエコパックの使いやすさについて、具体的にはどのような工夫をされているのでしょうか?

斎藤さん:例えば、このナイトクリームの容器は底部分に大きな穴が空いていて、そこを親指でグッと押すことで詰替えパックが外れるようになっています。

このように、詰替えや取り外しがワンアクションでできるのが「使いやすさ」そして「続けやすさ」ににつながると思っています。

容器に大きな穴を開けるという開発は前代未聞でしたが、お客様の目線で使い続けやすさを追求した結果だったので、社内の人間もみんな納得してくれました。

これからも「お客様が本当に続けやすいエコ」ってなんだろう?という点を常に意識しながら、新しいものを作っていきたいと思っています。

斎藤さん

売上比率としては、レギュラーパッケージが3割、エコパックが7割ほど。

初めてのお客様はレギュラーパッケージを、リピーターのお客様はエコパックを選んでいただくことが多いです。

3.サステナブルな社会のために

─では最後に、アテニアのSDGsの取組みを通して伝えたいことを伺えますか?

斎藤さん:アテニアは今までもこれからも、お客様の声に寄り添いながら商品の開発をしていきますし、それはSDGsや環境問題への取り組みについても同様です。

お客様としっかりコミュニケーションをとりながら、サステナブルな社会のためにできることを考え続けていきたいですね。