「専門性を生かして経営に関わる仕事がしたい」
キャリアを積み、活躍の場を広げたいと考えている方にとって、エグゼクティブクラス(経営幹部クラス)への転職は、選択肢の一つに入ってくるでしょう。
人材の流動化が進んできている現在では、エグゼクティブクラスへの転職も増えてきています。
そこで、この記事では
- エグゼクティブ転職市場の特徴
- エグゼクティブ転職を実現するための転職エージェント活用術
- おすすめの転職エージェント
をご紹介します。
先におすすめの転職エージェントを知りたい方は「3.タイプ別|エグゼクティブ転職におすすめの転職エージェント6選」からチェックしてみてくださいね。
(※この記事は、2017年4月時点での情報を参考にしています。)
Outline
1. 知っておきたいエグゼクティブ転職市場の基礎知識
この章ではまず、エグゼクティブ転職市場の特徴と、大きく分けて3種類ある転職エージェントの違いについてご紹介します。
1-1. エグゼクティブ転職市場の3つの特徴
「エグゼクティブ」という言葉について、転職市場で共通の定義があるわけではありません。
一般的には、‟上級管理職”ポジションのことを指すことが多いですが、この記事ではより広くミドルマネジメント層以上のポジションという意味でご説明していきます。
エグゼクティブ転職市場には、一般的な転職市場とは異なる顕著な特徴が3つあります。
以下で、それぞれ詳しく見ていきます。
上へ行けば行くほどポストが少なくなるピラミッド構造の組織の中で、組織の意思決定機能を果たすエグゼクティブ層は、その頂点に属しています。
そのため、当然ながらそのポストは少なく、求人数自体が希少になります。
エグゼクティブ求人が、企業HPや転職サイトなどで、公開で募集されることはまずありません。
その理由は、エグゼクティブ層の採用は企業にとって重要戦略に直結、あるいは重要戦略そのものとも言えるものなので、社外はもちろん社内でも、ごく限られた人しか知らないケースが多いためです。
もう一つ、エグゼクティブ転職市場の特徴として挙げられるのが、ピンポイントのマッチングが不可欠だという点です。
企業側には、補強したいポストと欲しい人材像がセットで明確にあり、これに基づいて採用活動を行います。そして、候補者の評価は、相対評価ではなく絶対評価で行われることがほとんどです。
また転職者側でも、高い専門性と豊富な経験を有している方が転職活動を行うので、求める条件(ポスト・仕事内容・給与等)を厳選しているケースが多い傾向にあります。
そのため、エグゼクティブ転職市場では、まさに‟ピンポイント対ピンポイント”のマッチングが求められるといえるでしょう。
1-2. 違いを知って使い分けたい3種類の転職エージェント
エグゼクティブクラスへの転職には、転職エージェントを利用する方法が一般的ですが、転職エージェントには大きく分けて以下の3種類があります。
ここでは、それぞれのエージェントの違いと、どんな人におすすめかについてご紹介していきます。
転職希望者が会員登録すると、キャリアアドバイザーやコンサルタントと呼ばれる担当者が付いて、求人企業と転職希望者双方の条件に合致する求人を紹介してくれるサービスです。
豊富な保有案件の中から自分の希望に合った求人を紹介してもらえるので、転職活動期間をできるだけ短くしたい方におすすめです。
- 求人紹介を受けるのは、転職エージェントに会員登録した転職希望者
- エージェントは、保有案件の中から、転職希望者に求人紹介を行う
- 紹介を受けられる案件数が多く、その中から自分の希望に合った案件を選択できる
転職希望者が会員登録して利用する点は、一般的な総合転職エージェントと変わりません。
しかし、登録すると担当者が付いて求人紹介をするという仕組みとは異なり、案件を持つヘッドハンターからのスカウトを待つというスタイルのサービスです。
そのため、中長期的なスパンで転職活動を考える必要がありますが、一方で、より秘匿性の高いハイクラス求人と出会える可能性もあるため、じっくりと優良案件を狙いたい方におすすめです。
- 求人紹介を受けるのは、転職エージェントに会員登録した転職希望者
- ヘッドハンターが登録者の経歴を見てスカウトを行う
- 一般的な転職エージェントが保有していないような、秘匿性の高いハイクラス求人と出会える可能性がある
こちらは、転職希望者が自らアクションを起こして利用するというものではありませんので、その特徴だけご紹介します。
企業から依頼を受けたエージェントが、保有データベースの中から対象者を探すのではなく、独自のネットワークやノウハウを駆使して対象者を探し出してスカウトするというものです。
そのため、対象者が転職希望者とは限らないことになります。
- 企業から依頼を受けたエージェントが、独自に構築しているネットワークやノウハウを駆使して、対象者を探し出すシステム
- 探し出した対象者が転職希望者とは限らない
2. エグゼクティブ転職のための転職エージェント活用術
転職支援のプロである転職エージェントのサポートをいかに上手く利用できるかは、転職活動の結果に大きな違いをもたらします。
そこでこの章では、転職エージェントを上手に活用するために押さえておきたいポイントと注意点をご紹介していきます。
2-1. 転職エージェントをフル活用するためのたった2つのコツ
転職エージェントを活用するためのポイントは、次の2つです。
以下で、それぞれ詳しく見ていきます。
一般的な転職活動の場合には、あまり多くのエージェントに登録して管理ばかりに時間を取られないよう、利用するエージェントは2~3社に限定するのがおすすめです。
しかし、エグゼクティブへの転職を目指す場合には、数を限定することはせず、より多くの信頼できるエージェントを探して利用することをおすすめします。
「1-1. エグゼクティブ転職市場の3つの特徴」でご説明した通り、エグゼクティブ転職市場では、求人数自体が非常に希少です。
またピンポイントのマッチングが求められるので、自分が希望するような求人と出会うために、できるだけ多くの転職エージェントを利用することが有効になってきます。
ヘッドハンティング型転職エージェント(登録型)を利用すると、経歴やスキルに興味を持ったヘッドハンターからスカウトが届きます。
その場合、連絡をくれたヘッドハンターとしっかりとコミュニケーションを取るようにすることをおすすめします。
その理由としては、ヘッドハンターとのコミュニケーションによって、新しい視座を得られるためです。
具体的なメリットとして主なものを挙げると、
- 自分の客観的な評価が分かる
- 企業の一次情報を聞くことができる
- 予期しなかった出会いを期待できる
- 転職活動の進め方を相談できる
になります。
以下で、それぞれ詳しく見ていきます。
・自分の客観的な評価が分かる
ヘッドハンターは、興味を持った登録者にスカウトを送ります。この、ヘッドハンターが興味を持った経験やスキルこそ、自分の客観的な強みと言えます。
今まで気づかなかった部分が、自分の市場価値につながることもあり得るので、自分の経歴のどの部分に興味を持ったのか聞いてみるのも良いでしょう。
・企業の一次情報を聞くことができる
企業の担当者から依頼され、候補者を探しているヘッドハンターは、その企業に関する多くの情報を保有しています。
また、優秀なヘッドハンターであればあるほど、豊富なコネクションを持ち、通常では知り得ない企業の内部情報に精通していることも多いため、応募企業や志望業界に関する情報収集という意味でも大きな助けとなります。
・予期しなかった出会いを期待できる
ヘッドハンターから紹介される案件が、自分では思いつかなかった業界や企業のものであったり、思いがけないポストである可能性もあります。
数多くの企業と転職者を見てきたヘッドハンターの着眼点で紹介される案件は、ご自身の新しいキャリアを切り拓くチャンスにもつながります。
・転職活動の進め方を相談できる
最後になりますが、転職活動の進め方を相談できるというメリットもあります。
転職支援のプロであるヘッドハンターは、当然ながら、転職活動に関する豊富なノウハウを保有しています。
また、ヘッドハンターは、転職を成功に導くことで報酬を得ることができるので、真剣に転職活動に臨む候補者には、より丁寧に対応してくれます。
転職活動は、ともすれば孤独な作業になりがちです。ましてや、エグゼクティブクラスの求人を狙う転職の場合は、人にも相談しづらいものです。
ぜひ、ヘッドハンターの力も借りながら、転職活動を進めるようにしてください。
2-2. 転職エージェント利用時に注意したい4つのポイント
転職活動において、大きな助けとなる転職エージェントですが、利用時には注意したいポイントもあります。
主なものとして、次の4つが挙げられます。
以下で、それぞれ詳しく見ていきます。
「なぜ転職するのか」という転職目的や希望条件を整理することは、どなたの転職活動においても重要ですが、エグゼクティブなどのハイクラス求人を狙う転職の場合には、さらに重要な作業になってきます。
ここでのポイントは、自分の希望をあまり限定しすぎないということです。
「これだけは譲れない」といった大きな軸を持つことはとても大切ですが、細かいところまで限定しすぎると、求人数自体が少ないエグゼクティブ転職市場では、なかなか希望の求人に出会うことはできません。
また、ヘッドハンターなど第三者からの評価や提案を取り入れる余地を残しておくことは、これからのキャリアの可能性を広げるという視点からも重要です。
「自分はどんなキャリアを送りたいのか」といった大きな軸は大切にしながらも、柔軟な姿勢で転職活動に臨むことで、これまで気づかなかったような、新しいキャリアの可能性を見つけることができるかもしれません。
「1-1. エグゼクティブ転職市場の3つの特徴」でご説明した通り、エグゼクティブクラスの転職では、企業側も転職者側もはっきりとしたニーズを持って臨んでいます。
これまでの単なる経験やスキルだけでなく、ある特定シーンでの実績などが求められるケースもあります。
ですから、これまでのキャリアをじっくりと振り返り、経験の羅列で終わらないよう、経験とその具体的な成果をセットで示すことができるよう準備しましょう。
転職エージェントの担当者は、一人で多くの転職希望者を抱えています。
そのため、担当者の中での、自分の序列を常に高めておく必要があります。
一般的に、一定期間連絡がない登録者は、転職先が決まったか転職活動を中断したと判断されて、求人紹介がストップしてしまう傾向にあります。
より多くの求人を紹介してもらえるよう、転職活動の近況報告など、担当者とは定期的に連絡を取るようにしましょう。
また、ヘッドハンティング型転職エージェントの場合は、ヘッドハンターや企業は職務経歴書を見てスカウトを送ってきます。
そのため、登録している職務経歴書を定期的に更新しておくことが、より多くのスカウトを受け取る秘訣となります。
最後になりましたが、エージェント担当者との相性も重要です。
一部の有料転職エージェントを除いて、転職エージェントの収益は、採用企業が支払う紹介料から成り立っています。
そのため、担当者によっては、転職希望者の立場よりも売上優先の立場を取っている場合もあり得ます。
また、転職エージェントの担当者とはいえ、最後には「人対人」の相性は大切です。
「信頼できる担当者かどうか」をしっかりと見極め、必要であれば、担当者の変更やそのエージェント自体の利用をストップすることも検討しましょう。
人生にとって大切な転機となる転職で後悔しないよう、自主性を持って転職活動を進めるようにしてください。
3.タイプ別|エグゼクティブ転職におすすめの転職エージェント6選
この章では、エグゼクティブクラスやハイクラス求人への転職に利用したいおすすめの転職エージェントをご紹介します。
総合転職エージェントとヘッドハンティング型転職エージェント(登録型)に分けてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
3-1. 豊富な案件数が魅力|エグゼクティブ案件に強い総合転職エージェント3選
海外進出企業や役員以上の転職に強い|JAC Recruitment
「JAC Recruitment」は英国発祥の日系人材紹介会社という、インターナショナルな企業文化を持ち、外資系企業や海外進出企業はもちろん、国内大手企業にも強い転職エージェントです。
エグゼクティブ向けサービスの‟JAC Executive”は、
- 業界や職種に特化した専門性の高い転職コンサルタント
- 海外進出している日系企業に強い
- 上級管理職以上の転職に強い
という特徴を持っています。
海外展開している日系企業や、役員以上のポジションへの転職を考えている方に特におすすめです。
リクルートグループが誇る企業との幅広いパイプが魅力|リクルートエージェント
「リクルートエージェント」は、非公開求人数約10万件、累計37万人以上の転職成功実績を持つ大手転職エージェントです。
リクルートグループが誇る企業との幅広いパイプと、豊富な実績が魅力で、
- 業界トップクラス約470名の経験豊富なキャリアアドバイザー
- 経営トップクラスの求人にも強い
- さまざまな業界、企業規模の求人をカバー
という特徴を持っています。
北海道から九州地方まで、全国に17拠点を展開し、大手企業だけでなく地域密着型の企業まで幅広い求人を保有しているため、さまざまな求人を見て検討したいという方に特におすすめです。
エグゼクティブ向けに特化したきめ細かな転職支援に強み|doda エグゼクティブ
パーソルキャリア株式会社が運営する、大手転職支援サービス「doda」のエグゼクティブ・ハイクラス向けのサービスです。
特徴としては、
- インテリジェンス エグゼクティブサーチ(IES)がサービスを提供
- エグゼクティブ層が求めるサポートを的確に提供するベテランのキャリアアドバイザー
- 「年収1,000万円以上の求人」など気になるキーワードでまとめて検索
などが挙げられます。
エグゼクティブ向けの転職支援に特化した「インテリジェンス エグゼクティブサーチ」がサービスを提供しているため、きめ細やかなサポートを受けながら転職活動を行いたい方に特におすすめです。
3-2. より秘匿性の高いハイクラス求人を狙う|ヘッドハンティング型転職エージェント3選
求職者課金型だからこそ可能な質の高い転職支援が魅力|ビズリーチ
日本初の「求職者課金型」求人サイトとして、2009年4月のサービス開始以来、多くのエグゼクティブ層に利用されているヘッドハンティング型転職エージェント「BIZREACH」です。
有料だからこそできる、会員の立場に立ったサービスが魅力で、
- 国内外の優良企業とヘッドハンターが職務経歴書を見て直接スカウト
- 厳正な審査基準をクリアした1,700名以上の一流のヘッドハンター
- 採用企業数5,900社以上の質の高い求人内容
といった強みを持っています。
有料であっても、より秘匿性の高いハイクラス求人を狙いたいという方に特におすすめです。
ビジネスパーソンとヘッドハンターの良い出会いから次世代リーダーを輩出する|RECRUIT DIRECT SCOUT
株式会社リクルートが、2014年6月に開設した次世代リーダーのためのキャリア支援サイト「RECRUIT DIRECT SCOUT」です。
新たなキャリアを切り拓いていくビジネスパーソンと、実績豊富なヘッドハンターを結び付け、次世代のリーダーを輩出することを目指したサービスで、
- 長期的なキャリア形成の良きパートナーとなる「かかりつけのヘッドハンター」
- プロフィールを見て相談するヘッドハンターを自ら指名
- 今後のキャリアプランに新しい可能性を与えてくれるハイクラス非公開求人
などの特徴があります。
その場限りの転職支援ではなく、長期的な視点に立って提案をしてくれるヘッドハンターを見つけたいという方に特におすすめです。
複数のエージェントを利用してスマートにエグゼクティブの転職を実現する|エグゼクティブ転職
株式会社日本経済新聞社と株式会社日経HRが共同で企画運営する、ハイクラス向け転職支援サイトです。
登録した経歴に基づき、複数のエージェントからスカウトが届く仕組みで、
- ハイクラス向け転職支援に強みを持つ複数の提携エージェントがスカウト参加
- 8万件以上のハイクラス求人へエントリー可能
- 豊富なエグゼクティブ案件とグローバル案件
などの特徴があります。
登録情報を見て、複数の提携エージェントが最適なキャリアを提案してくれるので、少ない時間の中で効率的に転職活動を行いたいという方に特におすすめです。
4. まとめ
人材の流動化が進み、企業にとっても優秀なエグゼクティブクラスの人材確保が急務となっている現在、エグゼクティブ層の転職は増加傾向にあると言えます。
この記事では、転職エージェントを有効に活用した転職活動の進め方とおすすめの転職エージェントをご紹介しました。
ぜひこの記事を参考にして、希望の転職を実現してくださいね。